栄養学としての水分の働きや役割とは?【栄養学初心者必見!】

こんにちは!

私は平成生まれの管理栄養士です。

栄養学入門として今日は『水』に着目して記事を書いていきたいと思います。

「水って栄養素なの?」

もしかするとそう思われるかもしれません。

水は栄養素ではありませんが、食物の摂取から消化と吸収、代謝まで非常に重要な働きをします。

今日はそんな水が体内でどのような役割がありどんな働きをしているか見ていきたいと思います。

それでは早速見ていきましょう!!

水の性質

私たち人間の体内には、約50~60%の水分が存在します。

そんな水の性質としては、まず一つは溶解力に優れるということです。

溶解力とは、何か物質を溶かす能力です。

酸素や二酸化炭素はもちろんですが、グルコースなどの栄養素も溶かすことが出来ます。

私たちが普段に目にする、炭酸水も水に二酸化炭素が溶けていますし、ジュースも水に糖質が溶けていますね!

そのように多くの物質を水は溶かしこむことが出来るのです。

その他にも熱伝導率が他の液体に比べて大きかったり、凍りにくかったりと人間が水を体内で利用する点でいくつか利点があるのです。

人間の体内水分量

体内での水分量とは、簡単に言うと体液のことを指します。

体液とは、体内にある水分の総称で、その中身は細胞内液、組織液、血液、リンパ液などです。

成人の男性は女性に比べて一般的には水分量の割合が多く、約60%と言われています。

一方で女性は男性よりも脂肪が多くなるのでその分水分量の割合も低く約55%となります。

人間の身体はこのような構成割合になっています。

また、体内での代謝が高い方が水分量が多くなります。

さらに新生児だと約80%、乳児は約70%、高齢者になると約50%と年齢によってもその水分量や比率が異なってきます。

水分は組織によってもその細胞内水分含有量が異なってきます。

こちらのグラフをご覧ください。

それぞれの各組織の水分含有比率です。

皮膚や血液に水分が多く含まれているのはなんどなくイメージができると思います。

しかし、肝臓や筋肉のも多くの水分が含まれています。

もしかすると、なんで肝臓や筋肉にこんなに多くの水分が含まれているか不思議に思うかもしれません。

これは肝臓や筋肉にグリコーゲンといってグルコースの貯蓄があるのですが、グリコーゲンが多くの水分を抱きかかえているためです。

グリコーゲンは血糖値でもおなじみのグルコースが集まったものですが、そのグリコーゲンが溶けるのに水を必要とします。

人間はグルコースが体内で不足した時のためにグルコースをたくさん繋げて作られるグリコーゲンとして貯蓄しています。

人間はあえてグルコースではなく、グルコースがたくさん繋がったグリコーゲンとして貯蓄しているのですが、グルコースとして体内に貯蓄するにはそれを溶かすために大量の水を必要とするのです。

体内には常に一定の量のグリコーゲンが蓄えられていますが、それを全てグルコースとして体液に溶かすと約15kgの水分が必要になります。

しかしグリコーゲンとして貯蓄すれば3㎏程度の水分量に抑えられるのです。

もちろんグリコーゲンとして貯蓄しても3㎏程度の水分量は必要ですので、それだけグリコーゲンが多く含まれている肝臓や筋肉には多くの水分が含まれていることになります。

1日に必要な水分量とその内訳とは?

一日に必要な水分の摂取量は約2~3ℓです。

摂取する水分量と排泄される水分量は基本的に健康であれば等しくなります。

なので出ていく水分量も2~3ℓということです。

体内で利用され必要なくなった水は汗や尿、便、呼気などによって身体の外へ出ていきます。

ここで「やっぱり2~3ℓくらいは毎日水分取らないといけないんだぁ」と思ったあなた!

そんなに摂らなくても大丈夫です!

実はこの摂取する水分量はその全てが飲料水としての水ではないのです。

こちらをご覧ください!

体に入る水
飲料 1.3ℓ
食物中の水 1.0ℓ
代謝水 0.2ℓ
合計 2.5ℓ

内訳は以下の通りで、

  • 飲料水・・・1.3ℓ
  • 食べ物の水分・・・1.0ℓ
  • 代謝水・・・0.2ℓ

 

実は飲料水としては1.3ℓ程度で構いません。

しかも食事中にお茶を飲んだり、汁物が献立にあればそれだけで一日トータルで約0.8ℓ前後は摂ることができると思います。

あとは寝る前や朝起きてからなど1日1杯ずつ程度水を摂れば大丈夫です。

そして、残りの約1ℓは食べ物の中に含まれている水分です。

ご飯や野菜、果物、肉類など私たちが日常的に食べている食物には多くの水分が含まれています。

食事量の多さにもよりますが、だいたい1ℓ前後は自然に食べ物に含まれている水分で摂れるということです。

また、代謝水というのは糖質や脂質、たんぱく質がエネルギーに変わる時に出る水のことです。

これら三大栄養素は全てエネルギーに変わることが出来るのですが、エネルギーに変わる際各栄養は最終的に水と二酸化炭素になるのです。

例えば糖質と脂質を見ていきましょう!

  • C₆H₁₂O₆+6O₂ → 6CO₂+6H₂O   (グルコース(糖質)の完全酸化)
  • C₁₆H₃₂O₂+23O₂ → 16CO₂+16H₂O (パルミチン酸(脂質)の完全酸化)

 

このように糖質や脂質は最終的には水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)となるのですが、この時に得られた水(H₂O)を代謝水と呼びます。

もちろん、たんぱく質もこのように窒素が抜けた後は代謝され、水と二酸化炭素に完全酸化されます。

一方で排泄される方の水分量を見ていきましょう!

体から出る水
尿 1.5ℓ
0.6ℓ
便 0.1ℓ
不感蒸泄 0.3ℓ
合計 2.5ℓ

内訳は以下の通りで、

  • 尿・・・1.5ℓ
  • 汗・・・0.6ℓ
  • 便・・・0.1ℓ
  • 不感蒸泄・・・0.3ℓ

 

もちろん個人差や摂取水分量によっても変わってきますが、だいたいこんな感じです。

不感蒸泄とは、呼気に含まれる水分や皮膚から蒸発する水分を指します。

水をたくさん飲めばトイレが近くなるように人間の身体は常に一定の水分量が保たれています。

逆に水分を全く摂らない人はその分尿量も非常に少なくなり、そのぶん濃い尿が出るようになります。

人にとって水の働きとは?

では一番知りたい、水はどんな働きをするの?ということをここでは紹介していきたいと思います。

水に働きがあるという感覚は非常に持ちにくいと思います。

しかし、水は体内で起こる様々な反応やシステムには必要不可欠な存在です。

水自体が働くというよりは、水が体内に存在することで様々な体内での反応にとって都合が良いといった感じです。

それでは代表的な働きをいくつか見ていきましょう!

その1 栄養素やその他の物質を運搬する

水はその溶けやすさから、様々な栄養素や物質が溶け込んでいきます。

その溶解力を活かして消化吸収に関わり栄養素たちを全身運びます。

また、肺から体内に取り入れた酸素も溶かすことで全身に運びます。

これは血液に含まれる水分の役割ですね!

各細胞で生まれた代謝物やいらなくなった物質を溶かし循環器を経て腎臓に運んでろ過し、尿中に排泄させることもできます。

不必要になったものは尿だけでなく汗にも含まれ、汗としても排泄できる仕組みが備わっています。

これはまさに水が溶けやすいという性質がなせる業なのです!

その2 体温を調節する

暑くなるとたくさん汗をかきますね!

また冬でも運動すると汗をたくさんかくと思います。

これは汗をかくことで身体の表面から水分が蒸発すると時に水の気化熱の大きさを利用し、上がった体温を下げる働きをしているのです。

夏の季節暑い日に打ち水をしたりするのも同じ原理です。

また、お風呂上りにしっかり水をタオルで拭き取らないと寒くなって湯冷めしてしまうのも同じです。

水には蒸発するときにその温度を奪っていく力があるのです。

人間を含む哺乳類のほとんどが恒温動物で常にある一定の体温を保たなければいけません。

なので体温より気温が高くなる暑い夏では、そのまま何も起きなければ気温と同じ温度に体温も上がってしまいます。

そこで体内に含まれる大量の水分を外に出すことで体温が上がらないように調節する仕組みが備わっているのです。

赤ちゃんや小さい子供はその機能がまだ不十分であるため、暑い車の中で熱中症になってしまうというようなニュースもよく見ますね。

逆に体温よりはるかに気温が低い寒い冬では、体内の代謝を亢進させ体温を上げる努力をしているのです。

よって夏に比べて冬のほうが代謝が高まっている分いくらかダイエットが成功しやすいということです!

ちなみにですが、可愛いナマケモノちゃんは哺乳類ですが気温と同じように体温も変化する変温動物です。

その3 体液の浸透圧を維持する

まず、浸透圧とは?と思う方が多いと思うのでを簡単に説明してみますね!

例えば、水は通すけれど水に溶けている物質は通さない膜があるとします。

ここではその溶けているものを仮にナトリウム(食塩)とします。

その膜(水は通すが溶けているナトリウムは通さない膜)の一方には真水をセットします。

もう一方には食塩水をセットします。

そうすると、この膜は水は通すので真水の方から食塩水の方へ水が移動しようとします。

2つの液体の濃度が混ざって一定になろうとするのです。

この時に真水の方から食塩水の方へ向かう時に圧が生じるのです。

この圧の力、つまり圧力のことを浸透圧と言います。

浸透していくときにかかる圧力で浸透圧ということです。

そしてこれは少し難しい話なのですが、体内の水には酸と塩基のバランスをとるために電解質が溶け込んでいます。

電解質はミネラルのことです。

なので体内の水には酸と塩基のバランスを保つためにミネラルは含まれているということです。

主に細胞の中にはカリウムイオンが含まれていて、細胞の外にはナトリウムが含まれています。

  • 細胞内・・・カリウム
  • 細胞外・・・ナトリウム

 

こうして体内の水分は電解質の溶け込むバランス(イオン濃度)を保つことで浸透圧を維持しているのです。

これも水が溶けやすい性質があるからこそ、様々な電解質が溶け込み色々な代謝がスムーズに行われているのです。

水の欠乏

水分が不足するとどうなるのでしょうか?

健康な状態では基本的には摂取する水分量と排泄される水分量のバランスが保たれるということは先ほども説明した通りです。

水分の摂取量が多ければその分多く尿などから排泄されていきますので、健康状態であれば基本的に少し多めに摂ってもさほど問題はありません。

しかし、何らかの原因で体内水分量が不足すると脱水が起こります。

例えばですが、

  • 単純に水分の摂取量が不足している場合
  • 運動によって汗で多くの水分が出ていく場合
  • 下痢や嘔吐などで水分が失われる場合

などのケースがあります。

のどの渇きはなんとたった約1%の水分が失われただけで感じると言われています。

その損失した水分がその後も補われない状態が脱水です。

体重の約4~6%の脱水で、血漿量や尿量、唾液量が減り体温が上昇します。

もしかするとこれを読んでいるあなたも一度は経験したことがあるかもしれません。

脱水が10%に達すると体内での代謝がスムーズに行われなくなり始め、人によっては意識障害が出る人もいます。

そして脱水が20%に達すると生命活動が危ぶまれてしまうのです。

水分の吸収は遅く約30分程度と言われています。

なので「喉が渇いた!」と思ってからでは少し遅いのです。

こまめな水分補給をこころがけましょうね!

まとめ

  • 物質を溶かす力に優れているので人間の様々な代謝を可能にさせる
  • 成人だと水分量は約55~60%で、乳児はその割合が高く、お年寄りは低くなる
  • 一日に摂取する水分量と排泄される水分量は約2.5ℓ
  • 水の体内での働きは主に栄養素の運搬、体温の調節、浸透圧の維持の3つ
  • 水分の欠乏はたった1%で喉の渇きを覚え20%に達すると命の危険性もある

 

今回は水分に関してまとめてみました!

いかがでしたか?

それでは次回の記事をお楽しみに!