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【必見!】TCAサイクルについてできるだけ簡単に解説してみた!

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こんにちは!

私たちは平成生まれの管理栄養士です!

ここ最近はずっと糖質の代謝について様々なことを記事にしています!

今回の記事は、糖質代謝のみならず、脂質代謝、たんぱく質代謝にも関わる内容です。

この三大栄養素の代謝の中心になるのが、今回の記事の内容であるTCAサイクルというものです。

TCAサイクルは本当に重要ですし、少し生理学や生化学などに詳しい人ならもしかすると聞いたことがあるかもしれません。

ではTCAサイクルがどのようなものなのか見ていきましょう!

TCAサイクルとは?

TCAサイクルを簡単に表現すると

「エネルギーを生み出していく回路(経路)」

というように表すことができます。

ここでいうエネルギーとは主にATPのことです!

私たち人間は、このATPを使って体内で様々な化学的な活動を行っているのです。

エネルギー(ATP)とはどのようなものか詳しく知りたい!という方はこの記事を参考にしてみてください!

【超簡単】ATPの構造や働きをわかりやすく解説してみた!

TCAサイクルは、私たち人間がもつ約60兆個もの細胞の中のほとんどの細胞内に存在しているシステムです。

各細胞のミトコンドリア内でTCAサイクルは回ります。

赤血球では、ミトコンドリアが存在していないためTCAサイクルによってのエネルギー産生ができません。

なのでミトコンドリアが無い赤血球では糖質による解糖系にそのエネルギー源を頼らざるを得ないということです!

TCAサイクルは糖質代謝である解糖系で生じたピルビン酸だけでなく、脂質の脂肪酸、たんぱく質の元であるアミノ酸の代謝にも関与しています。

このように糖質も脂質もたんぱく質も三大栄養素は全てTCAサイクルに合流し、脱炭酸反応によって二酸化炭素を引き抜かれます。

そして電子伝達系というシステムによって生み出されるエネルギーに必要なNADH+H⁺FADH₂を生成するのです。

このNADH+H⁺やFADH₂はTCAサイクルを理解する上では非常に重要なので覚えておいてくださいね!

TCAサイクル以外の呼び名

TCAサイクルには様々な呼び名があります。

少し紹介したいと思います!

  1. TCAサイクル
  2. クエン酸サイクル
  3. トリカルボン酸サイクル
  4. クレブスサイクル
  5. ATPサイクル

 

この中で最も多く目にするのは、TCAサイクルと、クエン酸サイクルです。

その他は私もほとんど見たことがありません。

ぞれぞれその名前がついた理由を見てみると、

  • TCAサイクル・・・トリカルボン酸の英語名(tricarboxylic acid cycle)から
  • クエン酸サイクル・・・クエン酸が主幹物質であることから
  • トリカルボン酸サイクル・・・クエン酸はトリカルボン酸のひとつであることから
  • クレブスサイクル・・・発見者のクレブス博士の名前から
  • ATPサイクル・・・ATPを作り出すシステムということから

 

こんな感じです。

ここはさほど重要ではないのでTCAサイクルと、クエン酸サイクルの名前だけ覚えてくれれば大丈夫です!

TCAサイクルが行われる場所とは?

最初にTCAサイクルはミトコンドリアで行われると説明しました!

少しイメージしにくいという方のために図を用意しましたが、細胞にはミトコンドリアという器官が存在します。

主にエネルギーの生成という役割を担っている器官です!

この図を見て頂ければすぐに理解できると思いますが、実はTCAサイクル以外のその他の反応系は全てミトコンドリア外で行われています。

細胞質という場所で糖質代謝である解糖系、脂質代謝であるβ酸化、たんぱく質代謝である脱アミノ反応が行われているのです。

こうして各種栄養素が持つ特有の代謝でできた物質を、最終的にミトコンドリアに持ち寄って大量のエネルギーを産生しているということです。

ミトコンドリアがエネルギー産生工場と呼ばれるのはこういう理由だったのです!

TCAサイクルの入り口

TCAサイクルのスタートとなる物質は、アセチルCoAというものです。

このアセチルCoAは非常に重要なので覚えておいてください!

脂肪酸も、アミノ酸もこのアセチルCoAとなりTCAサイクルを回っていくのですが、解糖系で生じたピルビン酸も全く同じです。

なのでTCAサイクルの説明をする前に、ピルビン酸がアセチルCoAに変化するところだけここで説明したいと思います!

解糖系によってできたピルビン酸は、ミトコンドリア内に存在するOH⁻と交換するように細胞質からミトコンドリア内へ輸送されます。

このような交換を対向輸送と専門用語では表現したりします。

こうして無事ミトコンドリア内に入ることのできたピルビン酸はアセチルCoAに変わるのです。

この反応を触媒する酵素はピルビン酸デヒドロゲナーゼという酵素です。

実はこのピルビン酸からアセチルCoAに変わる際にビタミンB₁が必要になるのです。

「糖質代謝にはビタミンB₁が必要」
「運動時のエネルギー産生にはビタミンB₁が必要」

などと一度は聞いたことがあるかもしれません。

まさにそのポイントがこの反応にあるのです。

なのでビタミンB₁が不足している場合は、この反応に支障をきたしてしまうということです!

図を見てもらうと分かるように、この反応ではNADH+H⁺が生じます。

このNADH+H⁺は電子伝達系におけるATP産生に利用されます。

また、この反応は不可逆的反応です。

不可逆的反とは戻ることができない反応ということです。

これは生理学的には非常に重要なことで、アセチルCoAからピルビン酸に変化することができない為に、脂肪酸代謝から生まれるアセチルCoAは決して糖質に変わることはありません。

つまり、動物において脂肪酸からグルコースを合成することはできないということです。

それでは、TCAサイクルの主な反応を見ていきましょう!

TCAサイクルの概要と各種反応

TCAサイクルの各種反応を見ていく前に、少し概要だけ解説したいと思います。

また、そんなに詳しく知りたくない方はこの概要だけでも十分かと思います。

TCAサイクルはアセチルCoAを最初の基質としてスタートします。

図を見てもわかるように、サイクルという名前がついているので回転していきます!

TCAサイクルが一回転すると、二酸化炭素(CO₂)が2分子、NADH+H⁺が3分子、FADH₂が1分子できます。

ここでできたNADH+H⁺とFADH₂は電子伝達系においてATP産生に利用されます。

また、中間産物としてGTPが産生されますが、このGTPもATPを生成します。

さらに2分子の水(H₂O)も抜けます。

このように、TCAサイクルが一回転するだけで多くのエネルギーを生成することができるのです!

反応① アセチルCoA → クエン酸

アセチルCoAはクエン酸シンターゼという酵素によってオキサロ酢酸と縮合してクエン酸になります。

この反応は反対に反応が起こることはなく不可逆的な反応です。

反応② クエン酸 → シスアコニット酸

クエン酸はアコニターゼという酵素によってシスアコニット酸イソクエン酸の2つが生成されます。

反応③ イソクエン酸 → αケトグルタル酸

イソクエン酸はイソクエン酸デヒドロゲナーゼという酵素によってオキサロコハク酸になります。

しかしオキサロコハク酸は非常に不安定で、すぐにαケトグルタル酸となります。

反応④ αケトグルタル酸 → スクシニルCoA

αケトグルタル酸はαケトグルタル酸デヒドロゲナーゼという酵素によってスクシニルCoAとなります。

反応⑤ スクシニルCoA → コハク酸

スクシニルCoAはスクシニルCoAシンテターゼという酵素によってコハク酸になります。

この時、GDPに高エネルギー結合を渡してGTPを生じます。

GTPはADPに高エネルギー結合を移動し、ATPを生成します。

この反応はTCAサイクル唯一、直接的にATP産生の反応になります。

反応⑥ コハク酸 → フマル酸

コハク酸はコハク酸デヒドロゲナーゼという酵素によってフマル酸になります。

この酵素はFADを必要とします。

この反応で生じたFADH₂は電子伝達系においてATP産生に利用されます。

反応⑦ フマル酸 → リンゴ酸

フマル酸はフマラーゼという酵素によって水(H₂O)が1分子加わりリンゴ酸になります。

反応⑧ リンゴ酸 → オキサロ酢酸

リンゴ酸はリンゴ酸デヒドロゲナーゼという酵素によってオキサロ酢酸になります。

この反応にはNAD⁺が必要で、結果としてNADH+H₂が生成されます。

こうして一周したTCAサイクルは再び同じ代謝回路を回り多くのエネルギーを生み出すのです。

まとめ

今回TCAサイクルについて解説してきました。

ここで今回の記事を簡単にまとめたいと思います。

TCAサイクルとは?

  • エネルギーを生み出す回路
  • ミトコンドリア内にて営まれる
  • スタートの基質はアセチルCoAである
  • 糖質・脂質・たんぱく質と三大栄養素全ての代謝に関わっている

 

TCAサイクルの反応

  1. アセチルCoA+オキサロ酢酸→クエン酸
  2. クエン酸→シスアコニット酸
  3. シスアコニット酸→イソクエン酸
  4. イソクエン酸→αケトグルタル酸
  5. αケトグルタル酸→スクシニルCoA
  6. スクシニルCoA→コハク酸
  7. コハク酸→フマル酸
  8. フマル酸→リンゴ酸
  9. リンゴ酸→オキサロ酢酸

記事内で一つ一つ反応を切り取って解説したとき、わかりやすいように反応の方向を一定に表しました。

しかし実際にはこの図のように、逆戻りが可能な反応箇所もいくつかあります。

そこまで重要ではありませんが可逆的な反応と、不可逆的な反応の箇所があるということは確認しておいても良いかもしれません。

TCAサイクル一回転した時の生成物

  • CO₂    2分子
  • NADH+H⁺ 3分子
  • FADH₂   1分子
  • GTP    1分子

 

以上です!

TCAサイクルは非常に重要なポイントなので、何回も繰り返し復習してください!

それでは次回の記事も楽しみにしていてくださいね!

 

 

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