食物繊維の生理作用・食事摂取基準・多く含む食品などを簡単にまとめてみた!

こんにちは!

私はゆとり世代代表を勝手に名乗っている管理栄養士です!

ここ最近はずっと栄養学入門として、様々な栄養素について日々記事を書いています。

今回の記事は食物繊維についてです。

食物繊維は今では『第六の栄養素』として注目されています。

炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質が三大栄養素、そこにビタミン・ミネラルを追加したのが五大栄養素です。

その次の6番目の栄養素ということですね!

そんな食物繊維について、できるだけわかりやすく要点を絞って記事を書いていきたいと思います。

それでは早速見ていきましょう!

食物繊維のプロフィール

食物繊維についてまずは簡単に紹介したいと思います。

食物繊維は別名で難消化性多糖類、またはダイエタリーファイバーなんて呼ばれています。

難消化性多糖類というのは、消化が難しい多糖類、つまり消化できない炭水化物の一種ということになります。

ここで少し復習ですが、炭水化物の分類について説明します。

炭水化物は上の図のようにまず大きく糖質と食物繊維に分けられるのです。

糖質は消化吸収され最終的には水と二酸化炭素に完全酸化されていきます。

一方で食物繊維は消化吸収されないので、そのまま便として排泄されていきます。

なので最近までは食物繊維は身体にとって不要なものとされそこまで注目されることはありませんでした。

しかし、今現在では食物繊維の大切や必要性は大いに謳われています。

食物繊維の定義

食物繊維は

「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」

と、定義されています。

これは先ほど説明した通りで、人間のもっている消化酵素では分解できない成分の総称ですよぉ~ということでしたね!

なので言い方は悪いですが、食物繊維は「食べ物のカス」としてしか評価されてこなかった歴史があるのです。

今では腸内細菌による分解や発行を経て、エネルギー源になったり、短鎖脂肪酸に変化して様々な生理作用をもたらしたりと研究がさらに進んでいます。

これからもその重要性は、時間が経つにつれて様々な発見がある栄養素になると思います!

食物繊維の分類や種類

この図のように、食物繊維は大きく2つに分類されます。

  1. 水溶性食物繊維・・・水に溶ける食物繊維
  2. 不溶性食物繊維・・・水に溶けない食物繊維

 

読んで字のごとくですね!水に溶ける食物繊維と、溶けない食物繊維で分類されているのです。

次はこの表を見てください!

食物繊維の分類と種類
分類 種類 食品
不溶性食物繊維 セルロース 穀類、豆類、野菜
ヘミセルロース 穀類、豆類、野菜、海藻類
ペクチン 野菜、未熟果実
リグニン 豆類、野菜、ココア
イヌリン ごぼう、きくいも
キチン・キトサン エビ・カニの殻
βグルカン きのこ類
コンドロイチン硫酸 フカヒレ
水溶性食物繊維 ペクチン 野菜、熟した果物
グアガム マメ科グアーの種子
アルギン酸 昆布、わかめ
グルコマンナン こんにゃく
アガロース(寒天) 天草、おごのり
カラギーナン 紅藻類

この表には主な食物繊維の種類を紹介してみました!

そしてこれらの種類の食物繊維たちはそれぞれが注目されている生理機能や働きがあるのです。

それでは生理作用を見ていきましょう!

食物繊維の生理作用や働き

食物繊維は大きく水溶性と不溶性に分類されるということを先ほど説明しました。

食物繊維の主な生理作用や働きを少し詳しく見ていきましょう!

その1 腸内環境を整える

水溶性食物繊維は腸内細菌によって発酵を受けます。

発酵とは、発酵食品の発酵と同じです。

漬物や、納豆などの発酵食品はその菌のもつ酵素や酸などの力でその食品のうまみなどを上手に活かした食品です。

これは菌による力で成り立っているのですが、腸内でも全く同じようなことが起きているのです。

最近は乳酸菌が入った食品が多く見られますが、腸内にはそのような菌が数多く存在しています。

これらの腸内細菌によって水溶性食物繊維が発酵されるわけです。

水溶性食物繊維は発酵されると短鎖脂肪酸が生成され、その短鎖脂肪酸の影響で腸内が酸性になるのです。

すると乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる菌が住みやすい環境になり腸内環境を整えます。

一方で、不溶性食物繊維は排便の量や回数を増やします。

すると不要な便に含まれる様々な有害な成分が大腸粘膜と接する時間が短くなります。

そうすることで腸内の良い環境を維持し、大腸がんのリスクも減らせると言われています。

その2 血糖値の急な上昇を抑える

水溶性食物繊維には粘りがあります。

昆布やわかめに含まれるネバネバ成分がまさに水溶性食物繊維です!

このように水溶性食物繊維の粘りの性質によって、胃から腸への食物の移動時間が遅くなります。

そうすることででんぷん等の糖質の消化吸収速度が遅くなり、結果として急激な血糖値の上昇が抑えられます。

急激な血糖値の上昇を抑えられれば、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの過度な分泌も抑制されます。

よく病院栄養士さんなどは「食事はまず野菜やサラダなどから食べましょう!」と、アドバイスします。

これは、野菜などに含まれる水溶性食物繊維がこのように血糖値の急な上昇を抑えるからです。

このように、なんで野菜やサラダなどから食べることが身体に優しいかの理屈を知ると患者さんも素直に聞いてくれる人が多かった気がします。

少し話はそれますが、病院で働いていた時に多くの糖尿病患者さんとお話する機会がありました。

糖尿病は血糖値がだけなら良いですが、その状態を放置しおくと必ずと言っていいほど合併症が起きます。

目が見えなくなってしまったり、足が腐ってしまったり、生活がままならないほど手足がしびれてしまったり・・・

海外に比べると、日本人は文化的にも歴史的にも糖質を多く摂取する民族です。

さらに現在では、精製された糖質がたくさん含まれた菓子類やスイーツなどが至る所に売っています。

糖尿病はその合併症が本当に怖い病気ですので気を付けてくださいね!

その3 便秘を予防・改善する

不溶性食物繊維は水を吸収し膨らむことで便を柔らかくし、その量やかさを増やします。

その結果として、便の消化管の通過時間が短くなるのです。

これはその1の腸内環境を整えるということにも繋がってきますが、便秘が改善されると腸内の環境は整います。

腸内には善玉菌と呼ばれる良い菌と、悪玉菌と呼ばれる悪い菌があるのはもうご存知かもしれません。

しかしそれだけではなく、実はこの善玉菌・悪玉菌のどちらにも含まれない中立的な立場の菌が多く存在するのです。

その菌は腸内環境が良ければ善玉菌となり、逆に腸内環境が悪いと悪玉菌になるという性質があります。

よって、便秘をしている人は腸内で悪玉菌が増えやすい環境にあるのでその中立的な立場の菌たちも悪玉菌に偏る可能性が高いです。

便秘が良くないことは専門的な知識がなくても何となくわかると思いますが、そんな時はできるだけこのように食物繊維を意識して摂取してみてはいかがでしょうか?

その4 コレステロールの吸収を抑制する

水溶性食物繊維は小腸内で食物中のコレステロールや胆汁酸を吸着し便の中へ排泄を促進します。

便の中へコレステロールが排泄されれば体内に吸収されずに済みます。

しかし、これはコレステロールが悪であるかのように思っている人が多いのでメリットに感じるかもしれませんが、必ずしも コレステロール=悪 ではありません。

コレステロールは身体にとって非常に重要な働きをしています。

  • 細胞膜の材料
  • 胆汁酸の材料
  • ステロイドホルモンの材料
  • ビタミンDの原材料

 

なので、コレステロールが体内には無くてはならないものだということが分かると思います。

また、コレステロールは体内で常に一定の割合で作られているので、食物からたくさん摂ってもその吸収が制限されるようになっています。

たくさん食物からコレステロールを摂れば体内合成量が少なくなるように調節されますし、逆に食物からコレステロールの摂取が少なくなれば体内での合成量が増えるように調節されているのです。

そのため食物からのコレステロール摂取は体内でのコレステロール量に影響しないということで、2015年に食事由来のコレステロール摂取量の制限は撤廃されました。

それまでは、国でコレステロール量の摂取の制限があったのですがそれがなくなったのです。

コレステロールが動脈硬化の原因物質であることは確かですが、これは体内でのコレステロール量ではなくコレステロールが酸化するかどうかに影響されるのです。

コレステロールが様々な要因で酸化されるとそれが動脈硬化の原因になります。

しかし、コレステロールは体内での量が多くてもそのコレステロールが酸化しないような食事や生活をすれば全く問題にはなりません。

むしろコレステロール量が少ない人ほどがんになりやすいというデータもあります。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の生理作用や働きの比較

ここまでは、食物繊維が(水溶性食物繊維や不溶性食物繊維が)どのような働きをしているかについて解説してきました。

そこで少しわかりやすく、この二つの分類のそれぞれの特徴の比較をしていきたいと思います!

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の生理作用や働きの比較
生理作用 不溶性食物繊維 水溶性食物繊維
腸内細菌叢での発酵 発酵性は低い 発酵性は高い
腸内㏗の変化 変化なし ㏗低下→酸性へ
便重量 増やす
大腸関連の疾患 便秘、大腸がんの予防
コレステロール コレステロール排泄促進
血糖値 急激な上昇を抑制
胃での滞留時間 滞留時間を長くする 滞留時間を長くする

このようにそれぞれ長所が違うということです!

 

各消化管での食物繊維の働き

今度は食物繊維の働きや役割を消化管別に見ていきましょう!

口腔では、その食物繊維がもつ繊維質より噛みにくさが生まれます。

そうすると、噛む回数(咀嚼数)や噛んでいる時間(咀嚼時間)が延長され、唾液の分泌が促進されます。

そうすることで歯垢が作られにくくなり虫歯の予防にも有効です。

胃では、高い吸水力で内容物のかさが増えます。

すると胃での滞留時間が長くなり満腹感が得られ食べ過ぎを予防できます。

結果として肥満を予防できるのです。

小腸では血糖値の急な上昇を抑えたり、余分な胆汁酸やコレステロールを吸着します。

また、有害ミネラルやその他の有害物質も吸着し体内での吸収を抑制します。

大腸では腸内細菌叢に働きかけ、腸内環境が整います。

また、腸壁を刺激して腸の動き(蠕動運動)を促進して排便を促します。

食物繊維の欠乏症と過剰症

食物繊維は不足すると便秘の原因になります。

そうすると便が堅くなり痔にもなりやすくなってしまいます。

さらに腸内での様々な有害物質が長く滞在することになり、腸内環境が乱れ発がんのリスクが高まってしまうのです。

この記事をここまで読んでくださった方は食物繊維の大切さはもう十分に理解してもらえたと思います。

逆に摂りすぎた場合はどうなのでしょうか?

食物繊維を摂りすぎると下痢や栄養素の吸収障害が起きます。

普段の食事で過剰になることはさほどありませんが、サプリメントなどで一気に取ると下痢が起こりやすくなります。

これは経験がある人も多いのではないでしょうか?

また、食物繊維を摂りすぎると鉄やカルシウム、亜鉛などの吸収が妨げられミネラル不足になる可能性もあります。

なので摂りすぎも良くはありません。

要はバランスですね!

食物繊維の食事摂取基準

食物繊維の食事摂取基準を、年代別、性別にそれぞれまとめていますのでご覧ください!

食物繊維(g/日)
性別 男性 女性
年齢 目標量
0~5 ヵ月
6~11 ヵ月
1~2歳
3~5歳
6~7歳 11以上 10以上
8~9歳 12以上 12以上
10~11歳 13以上 13以上
12~14歳 17以上 16以上
15~17歳 19以上 17以上
18~29歳 20以上 18以上
30~49歳 20以上 18以上
50~69歳 20以上 18以上
70歳以上 19以上 17以上

あなたに合った摂取量を見つけることは出来ましたか?

それでは、食物繊維がどのような食品に多く含まれているか見ていきましょう!

食物繊維を多く含む食品

食品名 100g当たりの含有量(g)
穀類 ライ麦 12.9
オートミール 9.4
豆類 いんげん豆 19.3
ささげ 18.4
小豆 17.8
えんどう 17.4
大豆 17.1
きなこ 16.9
いも類
種実類 ごま 12.6
6.6
きのこ類 きくらげ 57.4
干しシイタケ 41.0
海藻類 ひじき 51.8
焼きのり 36.0
わかめ 32.7
昆布 27.1
野菜類 切り干し大根 20.7
グリーンピース 7.7
果物類 干し柿 14.0
魚介類
肉類
乳製品

これらが食物繊維を多く含む食品です。

食物繊維は見てもわかるように、植物性食品であれば様々な食品から摂取することが可能です。

しかし加工食品ばかり食べているとなかなか摂りにくくなってしまいます。

できるだけ様々な食品を食べることを心がけましょう!

食物繊維の効率的な摂取方法

食物繊維は野菜に多く含まれているとはいえ、生野菜でばかり摂取しているとかさが多く、量がなかなか取れません。

なので、煮物やお浸しなど火を通した野菜などを摂ることで食物繊維の摂取量も増やすことができるのです。

また、豆類、海藻類、イモ類などにも多く含まれているのでこれらの食材を使った副菜を食卓に出すようにすることでさらに摂取量が増えます。

さらには、ご飯を玄米や分つき米、パンなら全粒粉やライ麦パンにすると摂取量が増えますよ!

まとめ

食物繊維についてかなり知識が深まったのではないでしょうか?

それでは今回の記事の内容をまとめていきます!

  • 食物繊維は炭水化物に分類され、「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義される
  • 食物繊維は大きく水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられる
  • 食物繊維の働きは①腸内環境を整える ②血糖値の急な上昇の抑制 ③便秘の予防・改善 ④コレステロールの吸収促進などがある
  • 食物繊維とは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維で特徴や生理作用に違いがある
  • 食物繊維が不足すると便秘や痔、大腸がんのリスクが高まる
  • 食物繊維を過剰摂取すると下痢やミネラルの吸収阻害を起こす
  • 食物繊維は様々な食品に含まれるので、加熱することでかさが減りたくさん摂取することができる

 

以上です!いかがでしたか?

では次回の記事も楽しみにしていてください!