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【水分補給の基礎知識!】脱水症と水分不足による影響について解説してみた!

あじ
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こんにちは!元高校球児の管理栄養士あじです。 スポーツ選手の食事や栄養学について『わかりやすく!』をモットーに情報発信しています!
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平成生まれの管理栄養士です!

今回はこれからの季節最も気を付けたい脱水についてです!

この脱水によって様々な症状が起こるのですが、これらを予防するためには脱水症について基本的な知識を得る必要があります。

そこで、この記事では脱水に関する基本的な知識をできるだけわかりやすく解説してみました!

体内での水分の働きや役割から、脱水時におすすめな飲料の紹介まで順序を追って解説しています。

あなた自身、またはあなたの周りの人が脱水症にならないためにも是非理解を深めてほしいと思います!

それでは早速見ていきたいと思います!

体内の水分量管理は栄養管理の基本!?

栄養素には、三大栄養素というものがあります。

  1. 炭水化物(糖質)
  2. 脂質
  3. たんぱく質

以上の3つです。

ここに、ビタミン類やミネラル類を足して五大栄養素と呼びます。

さらに五大栄養素に食物繊維が加わると六大栄養素となり、近年ではフィトケミカルなんかも注目されていて7つ目の栄養素なんて言われたりしています!

ですので、これらの栄養素を日々の食事からバランスよく十分な量を摂取することが、健康への近道となるということをあなたもすでに知っていると思います。

しかし、今紹介した栄養素は水が体内に十分存在していて初めて機能するのです。

ここで言う水は体液のことで、体液には電解質も含まれます。

体液管理がしっかりとうまくいっているということが、栄養管理の第一歩となっています。

では、人の身体の中で体液はどのように働いているのでしょうか?

体内での水(体液)の働きとその量とは?

私たち人間が生きていくのには、酸素や様々な栄養素を体内の隅々まで運ぶ必要があります。

実はこの様々な物質の運搬こそ、水(体液)の重要な役割の一つです。

水は体液の主成分で、私たち人間の半分以上の重さを占めます。

体液には、血液やリンパ液、組織液などが含まれます。

このような液の中を物質が溶け込むことで身体の隅々まで運ばれていくのです。

体液は水以外にも、電解質と非電解質を含んでいます。

電解質とは、Na⁺(ナトリウムイオン)、K⁺(カリウムイオン)、Ca²⁺(カルシウムイオン)、Mg²⁺(マグネシウムイオン)などです。

非電解質とは、ブドウ糖や尿素などイオンにならない物質です。

それでは体液がもつ重要な役割を3つ紹介します。

  1. 必要な物質(酸素や栄養素)を運搬する
  2. 不必要になった物質(二酸化炭素や老廃物)を運搬する
  3. 体温を調節する

以上の3つの役割は覚えてほしいと思います!

このような働きを持つ体液ですが、年齢によって体内に存在する割合が変わってきます。

  • 新生児・・・体重の約80%
  • 成人・・・体重の約60%
  • 高齢者・・・体重の約50%

また、男性よりも女性の方が体脂肪率が多くなりますので、その分水分量も男性の方が割合としては多くなります。

成人の一日あたりの体内水分出納

私たち人間が普通に生活していて失われる水分量は、成人の場合約1500~2500mlです。

これに対してだいたい1000~2000mlの水分を補う必要があります。

平均的には、食べ物から1000ml、飲み物から1200ml、食べたものを代謝した際に300mlの水分が産生されます。

人間は様々な環境で生活していますし、体調も日々変わってきます。

暑熱環境化での作業による発汗や、下痢や嘔吐など体液が失われる場合には、これらの摂取する水分量は普段以上に増えるということです。

下の表に一日あたりの成人の水分出納をまとめてみました!

体内に入る水分(ml) 体外へ出る水分(ml)
食べ物の水分 1000 尿・便 1600
飲料水 1200 600
代謝水 300 不感蒸泄 300
合計 2500 合計 2500

体液の分類【細胞内液】と【細胞外液】とは?

私たち人間の体液の量は、先ほども説明した通り年齢によって変化します。

成人の体液量は、体重の約60%でしたね!

この60%の体液の内訳をさらに詳しく見ると、

  • 細胞内液・・・40%
  • 細胞外液・・・20%

このようになっていて、細胞外液をさらに詳しく見ると、

  • 組織間液・・・15%
  • 血漿・・・5%

というような内訳になっています。

食べ物から摂取した栄養素は腸壁から吸収されると、まず血管内に入ります。

血液中の血漿部分に溶け込み、血漿から組織間液を介して細胞内に運搬されます。

これは必要な栄養素の運搬についてで、不必要となった老廃物はこの逆の経路をたどります。

細胞内から組織間液に移動し、血漿へ運ばれて最終的には尿として体外へ排出されるのです。

このように体液は細胞内液と細胞外液を行ったり来たりを繰り返すことで、体内で行われている様々な反応を一定に保っているのです。

体液に含まれる電解質とは?

体液には水分以外にも電解質が多く含まれているということを説明しました。

この電解質が存在することで私たち人間は生命活動を維持することができるのです。

身体から体液が失われる脱水症では、水分と一緒に電解質も失われてしまいます。

ですので、脱水症は最悪の場合命の危機にもつながってしまうのです。

体液中の電解質のバランスは次の表のようになっていて、細胞内液と細胞外液で常に一定に保たれています。

イオン名 細胞外液(mEq/L) 細胞内液(mEq/L)
血漿 組織間液
陽イオン Na⁺(ナトリウムイオン) 142 144 15
K⁺(カリウムイオン) 4 4 150
Ca²⁺(カルシウムイオン) 5 2.5 2
Mg²⁺(マグネシウムイオン) 3 1.5 27
合計 154 152 194
陰イオン Cl⁻(塩素イオン) 103 114 1
HCO₃⁻ 27 30 10
HPO₄²⁻ 2 2 100
SO₄²⁻ 1 1 20
有機酸 5 5 0
たんぱく質 16 0 63
合計 154 152 194
  • 細胞外液・・・Na⁺(ナトリウムイオン)が最も多く存在している
  • 細胞内液・・・K⁺(カリウムイオン)が最も多く存在している

このようなことが表から見てとれると思います。

では次は各電解質の働きについてです。

電解質 主な働き 異常時の症状
細胞外液 Na⁺ 細胞外液量と浸透圧の維持 意識障害、神経異常
Cl⁻ プラスイオンとの電荷のバランスをとる 代謝性アルカローシス
HCO₃⁻ ㏗のコントロール 代謝性アシドーシス
K⁺ 神経伝達・筋肉収縮 神経異常、筋収縮異常
Mg²⁺ 神経伝達・筋肉収縮 神経異常、筋収縮異常
Ca²⁺ 筋収縮 筋収縮異常、テタニー
P ATPの供給 身体活動の異常

これら電解質が、体内での様々な反応や生命活動を担っているのです。

脱水症は水も電解質も失われてしまう!

脱水症とは、体液が失われる現象で水と同時に電解質も失われてしまいます。

体液は細胞内液と細胞外液に分類されますが、脱水し始めた時は主に細胞外液が失われます。

脱水が進むにつれて徐々に細胞内液も失われていくのです。

先ほど説明した通り、細胞外液にはNa⁺(ナトリウムイオン)が多く含まれています。

ですので、脱水の初期の段階では主にNa⁺(ナトリウムイオン)が多く失われてしまうのです。

また、細胞外液のK⁺(カリウムイオン)の濃度は、細胞内液のK⁺(カリウムイオン)の1/30しかありませんので、K⁺(カリウムイオン)の喪失量はごく少量であっても生体に影響がでやすいということになります。

脱水症を引き起こす様々な要因

体内で脱水が起こる原因は様々あり、代表的なものを挙げると以下のようになります。

  • 激しいスポーツや運動
  • 暑熱環境下での作業
  • 発熱などによる発汗・利尿の促進
  • 嘔吐・下痢
  • 大量の出血
  • 水分摂取量の不足
  • アルコールの多量摂取

このように様々な原因で体内で脱水が起こると、口の中が渇いたり唾液の分泌量が減ったりして、摂水行動が促されるのです。

脱水が起きる原因の中で一般的なのは、暑熱環境下での作業や、発熱による発汗、水分摂取量不足ではないでしょうか?

または、運動する習慣がある人やスポーツ選手、アスリートなどが発汗によって脱水になることは夏場など特に多いと思います。

これらの脱水の原因はそれぞれ対策や処置は変わってきますが、基本的にはこまめな水分補給を心がけることがとても重要です。

脱水すると水と同時に電解質も失われますので、飲む飲料としては真水よりは電解質も含む飲料水がおすすめになります!

特に小児や高齢者は成人よりも脱水になりやすいですので十分な水分補給に努めてください!

脱水率と症状の変化

では脱水が進んでいくと体内ではどのような症状が起こるのでしょうか?

以下の表にまとめてみましたのでご覧ください!

脱水率 症状
1% 大量の汗、喉の渇き
2% 強い渇き、めまい、吐き気、重苦しさ、食欲減退、血液濃縮
4% 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、イライラ、感情鈍麻
吐き気、感情・精神の不安定、無関心
6% 手足の震え、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、体温上昇
脈拍・呼吸の上昇
8% 幻覚、呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱
10~12% 筋痙攣、失神、舌の膨張、興奮状態、不眠、循環不全
血液濃縮および血液減少、腎機能不全
15~17% 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難、目の前が暗くなる
排尿痛、聴覚損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる
18% 皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20%以上 生命の危険

脱水率が高くなってくると症状がより重くなっていくのがわかります。

脱水率とは、汗で減った水分量が体重のどのくらいの割合なのか?というものです。

脱水率は次のように求めることができます。

脱水率(%) = 水分損失量 ÷ 体重 × 100

暑い環境で作業する場合や、運動やスポーツをする場合などは、その前後で体重を量っておくことで、どのくらいの水分が汗で失われたのかわかりますね!

脱水時はどのようなものを飲めば良いの?

脱水率や症状によっては病院で点滴を打つなど専門的な治療が必要な場合があります。

軽度の脱水であれば、水などの飲料水で元の体液の状態に戻すことができます。

また、日常生活や運動時なども意識して水分を補給することで脱水症を未然に防ぐことができるのです。

そのような時に飲む飲料水として適切なものはどのようなものなのでしょうか?

基本的にはスポーツドリンクや経口補水液(ORS)がおすすめです!

特に経口補水液は人の体液の浸透圧に近い組成ですので最もおすすめできる飲料水です。

経口補水液は、日常生活においての脱水や、下痢や嘔吐、運動時など様々なシーンで使うことができます。

運動や競技の種類によってはスポーツドリンクの方が良かったりする場合もありますが、経口補水液でも十分です!

一方で脱水時の水分補給としては真水やジュース類などはあまりおすすめできません。

真水の場合、細胞外液をさらに薄めてしまう可能性があります。

脱水によって水分と電解質が失われたとことに水のみを摂取すると、体液が薄まってしまい低ナトリウム血症を起こしてしまう可能性があるのです。

ジュース類は糖質が多く浸透圧が高すぎて水分自体も吸収されにくいですし、失われた電解質は全く補給できません。

ですので、脱水によって水分と電解質が失われた場合は、経口補水液やスポーツドリンクなど水分と電解質を同時に摂取できる飲料水が良いのです!

まとめ

それではここまでの内容を簡単にまとめたいと思います!

  • ポイント1 水分(体液)管理は栄養管理の第一歩である
  • ポイント2 体液は、①水分、②電解質(各種イオン)、③非電解質(ブドウ糖など)によって構成されている
  • ポイント3 体液の3つの働きは、①必要な物質の運搬、②不必要な物質の運搬、③体温調節
  • ポイント4 体内の水分量は、新生児(約80%)、成人(約60%)、高齢者(約50%)
  • ポイント5 成人の一日の水分出納
体内に入る水分(ml) 体外へ出る水分(ml)
食べ物の水分 1000 尿・便 1600
飲料水 1200 600
代謝水 300 不感蒸泄 300
合計 2500 合計 2500
  • ポイント6 細胞外液・細胞内液の割合と役割
  • ポイント7 脱水とは、体液(水分と電解質)が失われるということ
  • ポイント8 脱水症は、失われる体液の割合が多くなるほど症状が重くなる
  • ポイント9 脱水時は、真水よりは経口補水液など水分と電解質の両方を含むものが良い

 

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