糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類や代謝を解説してみた!
こんにちは!
私は平成生まれの管理栄養士です!
今回の記事では糖原性アミノ酸と、ケト原性アミノ酸について解説していきたいと思います!
もしかすると言葉自体があまり耳慣れないかもしれませんが、できるだけわかりやすく丁寧に解説していけたらと思います!
それでは早速見ていきましょう!
もくじ
糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸とは?
まずこの言葉の意味ですが、これはとても簡単です。
- 糖原性アミノ酸・・・糖になる性質をもつアミノ酸
- ケト原性アミノ酸・・・ケトン体になる性質をもつアミノ酸
簡単ですね!
つまり糖原性アミノ酸は糖に変わることができるアミノ酸ということです。
一方でケト原性アミノ酸は、ケトン体に変わることができるアミノ酸ということです。
ケトン体ってなんだい?
そう思った方はこちらの記事をご覧ください!
【これで納得!】ケトン体の生成過程と代謝についてわかりやすく解説してみた!
たんぱく質を構成するアミノ酸は全部で20種類ありますが、それぞれが糖やケトン体に変化することでエネルギー源として利用されるということです。
たんぱく質はその働きとして、エネルギー源として利用されるという働きがありましたよね?
たんぱく質はこのように、アミノ酸に分解することで糖やケトン体となってエネルギー源として利用することができるのです!
アミノ酸についてちょいと復習!
糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸をそれぞれ紹介する前に少しだけアミノ酸について紹介したいと思います!
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類存在します。
それが以下の20種類です。
この20種類のアミノ酸の中で、体内で他のアミノ酸から作り出すこと可能なアミノ酸と、体内では作ることができないので食物から摂取しないと得られないアミノ酸もあります。
体内では作ることができないアミノ酸を必須アミノ酸と呼びます。
一方で体内で他のアミノ酸から作ることが可能なアミノ酸は非必須アミノ酸です。
それぞれ分類するとこうなります。
必須アミノ酸は以下のアミノ酸です。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- スレオニン
- メチオニン
- リジン
- ヒスチジン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
これらのアミノ酸は必須アミノ酸なので、は食物から摂取する必要があるのです!
非必須アミノ酸は以下のアミノ酸です。
- グリシン
- アラニン
- セリン
- システイン
- アルギニン
- チロシン
- プロリン
- グルタミン
- グルタミン酸
- アスパラギン
- アスパラギン酸
このようになるのです。
これらたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸が、どのような物質に変化しエネルギー源として利用されるかで糖原性アミノ酸やケト原性アミノ酸として分類が可能ということです!
ではそれぞれ紹介したいと思います!
糖原性アミノ酸の種類
糖原性アミノ酸は糖に変わることができるアミノ酸のことでしたね!
糖とは具体的にグルコースのことです!
グルコースは脳やミトコンドリアをもたない赤血球でのエネルギー源として非常に重要な物質です。
なので糖が体内で枯渇してしまった場合は糖新生といって、糖質以外の物質から新たな糖(グルコース)を生成するシステムが私たち人間には備わっているのです。
その糖新生に利用されるのは、脂肪を分解して得られるグリセロールや、このたんぱく質を分解して得られる糖原性アミノ酸なのです!
体内で糖が枯渇して緊急の飢餓時などでは、筋肉などを構成するたんぱく質を分解してアミノ酸を作り、それをさらに糖に変えてエネルギー源として利用し生き延びるのです。
それでは具体的に糖原性アミノ酸を紹介します!
- アラニン
- セリン
- グリシン
- システイン
- アルギニン
- ヒスチジン
- プロリン
- グルタミン
- グルタミン酸
- アスパラギン
- アスパラギン酸
- バリン
- メチオニン
- スレオニン
- イソロイシン
- チロシン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
これを見て分かると思いますが、リジンとロイシン以外のアミノ酸は全て糖原性アミノ酸ということです。
この中でトリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、イソロイシン、は部分的ではありますが、糖原性アミノ酸ということになります。
糖原性アミノ酸の覚え方はとても簡単で、リジンとロイシン以外のアミノ酸全てが糖原性アミノ酸です!
糖原性アミノ酸の代謝経路
糖原性アミノ酸と一概に言っても様々な代謝経路があります。
そして最終的にはそれぞれ代謝されて糖新生系に入り、グルコースに変換されます。
糖原性アミノ酸がどのように代謝していくのか見ていきましょう!
ピルビン酸からオキサロ酢酸になり糖新生に入るもの
- アラニン
- グリシン
- セリン
- スレオニン
- システイン
- トリプトファン
これらのアミノ酸は、ピルビン酸になり、それからオキサロ酢酸に変化して糖新生系に入ります。
スクシニルCoAになりオキサロ酢酸から糖新生に入るもの
- イソロイシン
- メチオニン
- バリン
これらのアミノ酸は、スクシニルCoAとしてTCAサイクルに入りオキサロ酢酸を経て糖新生系に入ります。
オキサロ酢酸になり糖新生に入るもの
- アスパラギン
- アスパラギン酸
これらのアミノ酸は、オキサロ酢酸になりそのまま糖新生系に入ります。
α-ケトグルタル酸になりオキサロ酢酸から糖新生に入るもの
- アルギニン
- グルタミン
- グルタミン酸
- ヒスチジン
- プロリン
これらのアミノ酸は、α-ケトグルタル酸になりTCAサイクルに入りオキサロ酢酸を経て糖新生系に入ります。
フマル酸になりオキサロ酢酸から糖新生に入るもの
- チロシン
- フェニルアラニン
これらのアミノ酸は、フマル酸になりTCAサイクルに入りオキサロ酢酸を経て糖新生系に入ります。
ケト原性アミノ酸の種類
ケト原生アミノ酸はケトン体になることで、脳やその他の細胞の緊急時のエネルギー源として有効活用されます。
ケトン体とは
- アセト酢酸
- β-ヒドロキシ酪酸
- アセトン
この3つの物質の総称で、糖が枯渇した時の重要なエネルギー源なのです。
詳しくはこちらの記事で!
とうことは、このケトン体になり得るアミノ酸がケト原性アミノ酸ということですね!
【これで納得!】ケトン体の生成過程と代謝についてわかりやすく解説してみた!
それではどのようなアミノ酸がケト原性アミノ酸なのでしょうか?
- トリプトファン
- リジン
- ロイシン
- チロシン
- フェニルアラニン
- イソロイシン
- (スレオニン)
以上の6(7)種類のアミノ酸です!
文献によれば、ここにスレオニンも入るというものもあります。
なのでスレオニンも一緒に覚えてしまっても良いかと思います!
このケト原性アミノ酸の覚え方は色々ありますが、私が学生の時覚えた覚え方は、
『ロリフェチな鳥居君』でした!
- ロ・・・ロイシン
- リ・・・リジン
- フェ・・・フェニルアラニン
- チ・・・チロシン
- 鳥・・・トリプトファン
- 居・・・イソロイシン
このように覚えてました!笑
ケト原性アミノ酸がどのようなものか覚えられたところで、次はそのエネルギー源としての代謝経路を見ていきましょう!
ケト原性アミノ酸の代謝経路
ケト原性アミノ酸はこのように代謝されていきます!
トリプトファン、リジン、ロイシンはアセトアセチルCoAとなり、その後アセチルCoAとしてTCAサイクルに入ります。
イソロイシンやスレオニンはアセチルCoAになり、TCAサイクルに入ります。
チロシンとフェニルアラニンはアセト酢酸になり、さらにアセトアセチルCoAに変換され、アセチルCoAを経てTCAサイクルに入ります。
糖原性アミノ酸なのに、ケト原性アミノ酸?
これまで、糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸それぞれの種類と代謝を見ていきました。
しかし、気付いた方もいるかと思いますが実は糖原性アミノ酸でもあり、ケト原性アミノ酸でもある両方の性質をもつアミノ酸も存在するのです!
これを見ると分かると思いますが、以下のアミノ酸は両方の性質をもつアミノ酸です。
- スレオニン
- イソロイシン
- トリプトファン
- チロシン
- フェニルアラニン
これらのアミノ酸は状況によって、糖にもケトン体にもなり得るということです。
よって、純粋にケトン体のみにしかならないアミノ酸は、リジンとロイシンだけになりま
まとめ
それでは今回の記事の内容を簡単にまとめたいと思います!
糖原性・ケトン原性アミノ酸とは?
- 糖原性アミノ酸・・・糖に変換可能なアミノ酸
- ケト原性アミノ酸・・・ケトン体に変換可能なアミノ酸
糖原性アミノ酸
- アラニン
- セリン
- グリシン
- システイン
- アルギニン
- ヒスチジン
- プロリン
- グルタミン
- グルタミン酸
- アスパラギン
- アスパラギン酸
- バリン
- メチオニン
- スレオニン
- イソロイシン
- チロシン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
ケト原性アミノ酸
- スレオニン
- イソロイシン
- チロシン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
- リジン
- ロイシン
糖原性アミノ酸かつケト原生アミノ酸
- スレオニン
- イソロイシン
- トリプトファン
- チロシン
- フェニルアラニン
糖原性アミノ酸の代謝経路
ケト原性アミノ酸の代謝経路
アミノ酸の性質まとめ図
以上です!
いかがでしたか?
それでは次回の記事も楽しみにしていてください!