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【これでスッキリ!】糖新生の仕組みや代謝経路の要点をまとめてみた!

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こんにちは!元高校球児の管理栄養士あじです。 スポーツ選手の食事や栄養学について『わかりやすく!』をモットーに情報発信しています!
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こんにちは!

私は平成生まれの管理栄養士です!

今回は糖質代謝⑥ということで、糖新生という概念に関して解説していきたいと思います!

糖新生とは糖を新たに生成する』と書きますので、糖ではない物質から糖を作るシステムです。

  1. どんな場合にそのシステムが作動し
  2. どのようなものが原料で新たに糖ができるのか?
  3. どんな経路なのか?

 

そんなことをできるだけ簡単に解説していけたら良いなと思います!

それでは早速見ていきましょう!

糖新生とは?

糖新生は先ほども説明したように、糖を新たに生み出すシステムです。

あなたも聞いたことがあると思いますが、血糖値というものがある程度一定に維持されることによって人間は生きていくことができます。

血糖値とは、血中に含まれている糖(グルコース)の濃度のことです。

血中にグルコースが存在することで、人間はそのグルコースをエネルギー源として様々な生命活動が可能になります。

なので血糖値が下がると人間の身体にとって困ることが多く出てきます。

特に脳はそのエネルギー源をほとんどグルコースに頼っているので血糖値の低下は脳細胞に重大な影響を及ぼします。

脂肪酸もエネルギー源として脳細胞が使えればよいのですが、脂肪酸は脳血液関門を通過することができないので脳ではエネルギー源として利用できないのです。

また、網膜細胞や腎臓の一部である腎髄質、ミトコンドリアをもたない赤血球もエネルギー源をグルコースによってエネルギーを生み出す解糖系に依存しています。

いかに血糖値がある程度一定に維持されていることが重要かが分かると思います!

血糖値が下がってもの貯蔵としてグリコーゲンが肝臓にあるじゃないか!

それは正しいです!!

しかし、その肝臓に蓄えられたグリコーゲンも食事をしないと半日程度で使いつくされてしまいます。

グリコーゲンについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

【超簡単!?】グリコーゲンの合成と分解について解説してみた!

食物から十分な糖質が得られないような状況では、肝臓に貯蓄されているグリコーゲンを分解するだけでは半日ほどしかもたないのです!

新たに肝臓におけるグルコースの合成が重要な役割を果たしているのです。

このように糖質以外の物質をグルコースに変換する経路を糖新生系と呼んでいるのです。

少しだけ腎臓もその役割を担っているのですが、糖新生は肝臓で主に行われていますので、糖新生=肝臓と覚えてくれれば大丈夫です!

グリコーゲンの原料は何?

糖新生とは、血糖値(血中グルコース量)が下がった時に新たに糖を生成することで血糖値を維持するシステムで、主に肝臓で行われているということはわかりました!

ではその糖新生によってグルコースを新たに作る際の原料は何なのでしょうか?

それは主に2つあります。

  1. 筋肉のたんぱく質から分解されたアミノ酸
  2. 脂肪細胞の脂肪から分解されたグリセロール
  3. (解糖系で生じた乳酸

 

つまり、脂質の一部やたんぱく質の一部から糖質を新たに生み出すということです。

また、念のため載せておきますが糖質代謝で生じる乳酸からも新たにグルコースを作ることができます。

糖新生は食物から十分な糖が摂取できない飢餓時のような時だけでなく、正常な状態でも運動など糖が大量に必要になる際にも起きます。

乳酸は飢餓時には糖新生の原料として関与しませんが運動時などでは活躍します。

乳酸は糖の仲間です。

なので乳酸が体内に存在している場合ではまだ糖が残っている状態ということになり、飢餓状態ではないということです。

簡単に糖新生の概要の図を示しておきます!

実はこのように糖新生というシステムはATPやGTPなどエネルギーを使います。

飢餓の状態にも関わらず、エネルギーを使ってグルコースというエネルギー源を生成するのです。

それはグルコースがエネルギー源としてどうしても必要な組織があるからです。

最初にも説明したように、グルコースが必要な組織は脳や腎、網膜細胞や赤血球などです。

それでは糖以外の物質から糖に変化する際の代謝経路について解説していきたいと思います!

ピルビン酸 → グルコースへの変換

糖新生は飢餓時では主に、筋たんぱく質を分解したアミノ酸と、脂肪細胞の脂肪を分解したグリセロールからグルコースが作られます。

正常な状態でも、運動時など急激に糖が使われる場合ではグルコースが解糖系によって生じた乳酸から糖新生を行います。

なので、それぞれアミノ酸、グリセロール、乳酸からグルコースに変換される経路を説明すればよいのですが、糖新生での経路において最も重要なポイントがあるのです。

そこをしっかりと理解できればこの3つの代謝経路はすぐ理解できるかと思います。

その糖新生において重要なポイントというのが、ピルビン酸→グルコースへの代謝経路なのです。

それはなぜかというと、糖新生というシステムで新たにグルコースが作らる時、多くの原料がピルビン酸に変化してから糖新生系に入るからです!

例えば糖原性アミノ酸の一部や、乳酸などがそうです!

これらはピルビン酸を経てグルコースが生成されます!

糖原性アミノ酸がわからないという方はこちらの記事をご覧ください!

糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類や代謝を解説してみた!

なので糖新生の経路を解説する際に、解糖系をまず復習するとわかりやすいと思いますので解糖系の代謝経路を見ていきましょう!

上の図を見てみると、解糖系ではグルコースからピルビン酸を生成しています!

ということは、ピルビン酸からグルコースを新たに作る一番簡単な方法は解糖系を逆走することです!

しかし、ピルビン酸からグルコースまでを遡って見ていくと、3箇所だけ逆に進めない箇所を見つけられるでしょうか?

  1. ピルビン酸 → ホスホエノールピルビン酸
  2. フルクトース-1.6-二リン酸 → フルクトース-6-リン酸
  3. グルコース-6-リン酸 → グルコース

 

この3箇所の反応は逆走することができません。

上の図をもう一度確認してみてください!

上記の3箇所では矢印の方向が逆戻りしていませんね!

ということは、グルコースからピルビン酸を作ることはできますが、ピルビン酸からグルコースを同じ解糖系の逆走によって作ることができないのです。

つまりバイパスをいくつか通らないといけないのです。

ではそのバイパス部分を見ていきましょう!

バイパスその① ピルビン酸 → オキサロ酢酸

最初のバイパスはピルビン酸からオキサロ酢酸に変換される反応です。

この反応はピルビン酸カルボキシラーゼという酵素によって触媒されます。

オキサロ酢酸はTCAサイクル内における物質なのでこの反応はミトコンドリア内で行われるといことです。

この時、ATPを利用してこの反応は進みますのでエネルギーを使って糖新生が行われるということです!

バイパスその② オキサロ酢酸 → リンゴ酸 → オキサロ酢酸

さきほどピルビン酸からオキサロ酢酸になる反応はミトコンドリア内で起こなわれます。

オキサロ酢酸はミトコンドリアを通過することができません。

なのでここでオキサロ酢酸はリンゴ酸に変化して細胞質に出て再びオキサロ酢酸に戻ります!

この反応を触媒する酵素はリンゴ酸デヒドロゲナーゼという酵素です。

バイパスその③ オキサロ酢酸 → ホスホエノールピルビン酸

次のバイパス部分はオキサロ酢酸ホスホエノールピルビン酸になる反応です。

この反応はホスホエノールピルビン酸カルボキシナーゼという酵素が触媒します。

ここでもGTPという高エネルギー結合物質の力を借りて反応が進められます。

バイパスその①の反応に続きここでもエネルギーが使われます。

こうして飢餓維持にはエネルギーを多く使ってでもグルコースが必要な組織のために糖新生系を進めるのです!

バイパスその④ フルクトース-1.6-二リン酸 → フルクトース-6-リン酸

3つ目のバイパスはフルクトース-1.6-二リンフルクトース-6-リン酸に変換される反応です。

図を見てみると、解糖系ではホスホフルクトキナーゼという酵素がこの反応を触媒しています。

しかし解糖系を逆走するために使うバイパスでは、フルクトース-1.6-ビスホスファターゼという酵素が触媒します。

バイパスその⑤ グルコース-6-リン酸 → グルコース

最後のバイパスはグルコース-6-リン酸からグルコースに変換される反応時です。

図を見てみると、解糖系ではグルコース→グルコース-6-リン酸の反応部分をヘキソキナーゼが触媒しています。

しかし解糖系を逆走するために使うバイパスでは、グルコース-6-ホスファターゼという酵素が触媒します。

 

以上が解糖系を逆走するために必要なバイパス5つでした!

この①~⑤のバイパスを含めたピルビン酸からグルコースを生成する糖新生系をまとめた図がこちらです!

糖新生系は主に肝臓で行われ、少し腎臓でも行われています。

なので糖新生系=肝臓で行われる!として覚えておいてくださいと最初に説明しました。

実はこのバイパス⑤に登場するグルコースを最終的に作り出すグルコース-6-ホスファターゼという酵素は肝臓と腎臓にしか存在していません。

なので日本語でも重要な部分は『肝腎かなめ』なんて表現しますね!

それだけ肝臓と腎臓は非常に重要な臓器ということです!

各組織からの糖新生で利用する原料の供給

さきほどピルビン酸からグルコースを新しく作り出す代謝経路を学びました!

後はとっても簡単です!

ピルビン酸→グルコースの代謝経路をしっかり理解すれば、飢餓時には体内でどのようなことが起きているがわかります!

糖新生に必要な原料をもう一度復習しておくと、

  1. 筋たんぱく質によって生じるアミノ酸
  2. 脂肪細胞の脂肪を分解して生じるグリセロール
  3. (嫌気的解糖系によって生じる乳酸)

 

主にこの3つです!

アミノ酸とグリセロールは飢餓時においてグルコースを新たに生み出す原料になります。

乳酸(糖の一種)は飢餓時にはなくなってしまっているので、飢餓時においてグルコースを供給することはありませんが、正常な状態では重要な働きをしています!

まず先に飢餓時にどのようにして他の組織から供給される原料から新たにグルコースを作り出すかということを見ていきたいと思うので、アミノ酸とグリセロールについて解説していきたいと思います!

筋たんぱく質が分解して生じるアミノ酸→グルコース

ここからは、肝臓に貯蔵されていたグリコーゲン(グルコースの塊)が使い果たされてしまった飢餓状態において体内ではどのようなことが起きているか見ていきたいと思います!

このような飢餓状態では筋たんぱく質が分解されます。

たんぱく質が分解されることによって、筋たんぱく質を構成している20種類のアミノ酸が生じます。

この20種類のアミノ酸のうち、糖原性アミノ酸という糖に変わり得るアミノ酸がグルコースの原料になるのです。

糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸の種類や代謝を解説してみた!

これらの糖原性アミノ酸はTCAサイクルに入り、その途中に存在するオキサロ酢酸になります。

オキサロ酢酸はピルビン酸になりさらにアラニンへと変換されて血液中に放出されます。

こうして肝臓に運ばれたアラニンはピルビン酸になり先ほど解説した糖新生系の代謝経路をたどってグルコースが作られるのです!

筋肉から放出されるアミノ酸は約30%がアラニンと言われています。

脂肪細胞の脂肪を分解して生じるグリセロール→グルコース

筋肉と同様に肝臓において糖が枯渇してしまった場合は脂肪も分解されて糖新生の原料となります。

まず脂肪組織に貯蔵されていた中性脂肪が分解されます。

中性脂肪はこのような構造になっているので、中性脂肪が分解されると脂肪酸とグリセロールになるのです。

ここで生じたグリセロールをグリセロール-3-リン酸に変えるグリセロールキナーゼという酵素があるのですが実は脂肪組織にはこの酵素がほとんどないのです。

ということは、グリセロールができても脂肪組織ではグルコースに変換できないということです。

そこでこのグリセロールは血中に放出され肝臓に運ばれます。

こうして肝臓に運ばれたグリセロールは、グリセロール-3-リン酸を経てジヒドロキシアセトンリン酸に変換されて糖新生系に合流しグルコースが生成されます。

嫌気的解糖系によって生じた乳糖→グルコース

嫌気的な環境(酸素が充分に存在しない環境)にある網膜細胞や腎臓の髄質細胞、ミトコンドリアが存在しない赤血球などでは乳酸が作られます。

このようにして作られた乳酸は血中に放出されます。

血中に放出され乳酸は肝臓に運ばれ、新たにグルコースを作り出します。

こうしてグルコースをどうしても必要とする脳や腎髄質、網膜細胞、赤血球などに運ばれていくのです!

まとめ

今回の記事で重要なポイントをまとめておきます!

 

糖新生とは?

  • 肝臓で糖が枯渇した際に、糖を必要とする組織へ供給するためにたんぱく質や脂質から新たに糖(グルコース)を作り出すシステム
  • 肝臓で糖が枯渇していない通常の状態でも、運動の初期など糖の供給が間に合わない状況では乳酸も糖新生として利用される

 

糖新生の原料

  1. 筋たんぱく質によって生じるアミノ酸
  2. 脂肪細胞の脂肪を分解して生じるグリセロール
  3. 嫌気的解糖系によって生じる乳酸

 

ピルビン酸→グリセロールの代謝経路

 

各組織から得られた原料によって肝臓で行われる糖新生

 

いかがでしたか?

次回の記事も楽しみにしていてください!

 

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