【必見!】気温や湿度が高い夏場の発汗量とパフォーマンスの関係性
こんにちは!
平成生まれの管理栄養士です!
今回は夏場の水分補給の重要性について書いていきたいと思います。
夏場は普通に生活していても汗をたくさんかきます。
運動している人はなおさらですね!
スポーツ選手やアスリートは発汗量とパフォーマンスにどのような関係があるのか気になりますよね?
そこで今回は、発汗量とパフォーマンスの関係性について解説していきたいと思います!
それでは早速見ていきたいと思います!
スポーツ選手は練習や試合前後に必ず体重計に乗ろう!
運動習慣がある人や、スポーツ選手は夏場でも練習や試合をする機会も多いと思います。
気温や湿度が高くなる夏場は、大量に汗をかきます。
気温が高い場合は、環境による暑さに加えて運動によって生じる熱を放散しないとけませんから多くの発汗が必要になります。
体温の上昇を抑えるメカニズムに関して詳しく解説した記事がありますのでこちらをご覧ください!
湿度が低い場合は良いのですが、せっかく発汗しても湿度が高い環境だと汗がなかなか蒸発してくれません。
汗(水分)が蒸発する時の気化熱を利用して体内で生じた熱を放散しているので、湿度が高いとそれらが上手くいかないのです。
すると、せっかく発汗しても体温を下げることのない無効発汗の割合が大きくなってしまいます。
運動を続けると体内の熱は絶えず生み出され続けますので、さらに大量の汗をかくことになります。
このように高温多湿の環境では非常に多くの汗をかくことになります。
ではどのくらいの汗をかくのでしょうか?
基本的には一人一人かく汗の量は変わってきます。
ですので、練習や試合、運動の前後で体重を測り、その体重差で失った水分量を把握する必要があるのです。
もちろん、脂肪などが燃えて体重が減っている場合もありますが、その体重の減量分のほとんどが水分量だと考えてもらっても良いと思います。
その練習や試合、運動によって失った水分量を測定する方法は以下の通りです。
- 練習や試合、運動前に体重を計測する
- 運動中に補給した水分量を記録しておく
- 終了後は汗をふき着替える
- 体重を再度計測する
このようにすることで、おおよその水分損失量を把握することができます。
一般的には、真夏の暑い日に屋外で2時間程度の運動を行うとだいたい発汗量は約2ℓ程度になると言われています。
しかし、運動の強度や競技の種類などによって大きく異なりますので自分で測定することをおすすめします!
脱水量とパフォーマンスへの影響
まずは、一般的に言われている脱水率と症状について見ていきたいと思います!
脱水率は次のように求めることができます。
運動前後で体重が減った量(失った水分量) ÷ 運動前の体重 × 100
それでは、脱水率と症状についてまとめていますのでご覧ください!
脱水率 | 症状 |
1% | 大量の汗、喉の渇き |
2% | 強い渇き、めまい、吐き気、重苦しさ、食欲減退、血液濃縮 |
4% | 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、イライラ、感情鈍麻 |
吐き気、感情・精神の不安定、無関心 | |
6% | 手足の震え、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、体温上昇 |
脈拍・呼吸の上昇 | |
8% | 幻覚、呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱 |
10~12% | 筋痙攣、失神、舌の膨張、興奮状態、不眠、循環不全 |
血液濃縮および血液減少、腎機能不全 | |
15~17% | 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難、目の前が暗くなる |
排尿痛、聴覚損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる | |
18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
20%以上 | 生命の危険 |
このように脱水率が上がるにつれて様々な症状が起こります。
普通の運動や競技では、このような重い症状が起こる脱水率になるのは稀で、そうなる前に喉が渇いて水分補給を行うと思います。
しかし、長距離走など長い時間運動をし続ける競技で水分補給をする場面も限られている場合などでは、このような脱水症状が起きてしまうこともあります。
では、ある程度の水分補給ができる場合、水分の損失率とパフォーマンスにどのような関係性があるのでしょうか?
こちらの図をご覧ください!
基本的には図のように、脱水が進むにつれて直線的にパフォーマンスが落ちてきます。
気温が高い場合では、30℃のグラフを見るとわかりますが、たった1%の脱水率でも明らかにパフォーマンスが低下します。
しかし、気温が下がると2%程度の脱水が起きてもそこまでパフォーマンスが下がることはありません。
ですので、気温が低い場合はこまめな水分補給を意識するだけで脱水によるパフォーマンスの低下は防げるのです。
気温が高い夏場の練習や試合、運動などは1%でも明らかにパフォーマンスが下がるので、しっかりと意識しながら水分補給を行う必要があります。
では、脱水の有無が運動のパフォーマンスに影響を与えるのはなぜなのでしょうか?
脱水が循環器に与える影響とは?
私たちの身体は常に心臓が動いていて、血液によって絶えず酸素やその他必要な栄養素や物質を運搬しています。
それと同時に不必要になった物質の運搬もしています。
体内の水分量が脱水によって減少すると、血漿量が減ります。
血漿量=血液量と考えてもらっても大丈夫ですので、脱水するということは血液量が減るということだと考えてください!
最初に説明した通り、私たちの身体は血液が様々な物質を運んでいるので、血液量が減るとそれが上手くいかなくなるのです。
すると心臓はより活発に動くことでその不足を補おうとします。
こちらのグラフをご覧ください!
これらは水分摂取量の有無が循環機能に与える影響についてのグラフです。
まず左上のグラフですが、水分補給の有る無しで血液量に大きな差が生じるということがわかります。
これは脱水によって血漿量が減ることで血液量が減ったということですね!
次に左の下のグラフですが、水分補給の有る無しで心拍数に大きな差が生じています。
水分補給がある場合は心拍数の増加が緩やかなのに対して、水分補給がない場合は心拍数の増加が著しいことがわかります。
右上のグラフは一回拍出量に関してですが、一回拍出量とは心臓が一回ドクンとなる時に全身に送り出している血液量を指します。
水分補給がある場合は水分補給がない場合より血液量が多いので一回に全身に送り出せる血液量も多くなっているのがわかります。
右下のグラフは心拍出量に関してです。
心拍出量とは、心拍数と心拍出量の積、つまり掛け算したものです。
心拍出量は、1分あたりに何リットルの血液を全身に送ったかというものですので、1分あたりの心拍数×心拍出量になるわけです。
このように様々な結果を見ると、水分補給ない場合には脱水により心臓に大きな負担がかかってしまっているということがわかります。
ある程度の水分量の損失ではこのように心臓がより活発に動くことで補うことができます。
しかし、それ以上に心臓に負担が欠けられないところまでいくと発汗が抑えられます。
心臓の心拍数などにも限界があり、血液量をそれ以上減らすわけにはいかないからです。
すると発汗が抑えられたことで熱の放散が滞ってしまい、体温の上昇が起きて疲労が生じやすくなるのです。
またスポーツなどではパフォーマンスが低下してしまいます。
まとめ
今回は夏場など高温多湿の環境化での水分補給の重要性について解説してきました。
では最後にポイントをおさらいしていきましょう!
- ポイント1 スポーツ選手やアスリートは発汗による脱水量を把握するために運動前後の体重測定が重要である
- ポイント2 運動前後の体重測定の方法
- 練習や試合、運動前に体重を計測する
- 運動中に補給した水分量を記録しておく
- 終了後は汗をふき着替える
- 体重を再度計測する
- ポイント3 脱水率と各症状
脱水率 | 症状 |
1% | 大量の汗、喉の渇き |
2% | 強い渇き、めまい、吐き気、重苦しさ、食欲減退、血液濃縮 |
4% | 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、イライラ、感情鈍麻 |
吐き気、感情・精神の不安定、無関心 | |
6% | 手足の震え、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、体温上昇 |
脈拍・呼吸の上昇 | |
8% | 幻覚、呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱 |
10~12% | 筋痙攣、失神、舌の膨張、興奮状態、不眠、循環不全 |
血液濃縮および血液減少、腎機能不全 | |
15~17% | 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難、目の前が暗くなる |
排尿痛、聴覚損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる | |
18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
20%以上 | 生命の危険 |
- ポイント4 脱水率とパフォーマンス
- ポイント5 脱水が進むと心臓に負担がかかる
- ポイント6 脱水がさらに進むと発汗が抑えられ体温が上昇しパフォーマンスが低下する
参考文献
寺田新:スポーツ選手栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる:一般財団法人 東京大学出版会