糖質代謝の役割と細胞内へのグルコース輸送
こんにちは!
私は平成生まれの管理栄養士です!
今回からは少し難しい話が続くと思います。
しかし、できるだけ簡単に要点をまとめて話をしていきますのでよろしくお願いします!
今回の記事は糖質の代謝についてですが、その糖質の代謝のさわりの部分からお話していこうと思います。
それでは早速見ていきましょう!
糖質代謝の役割とは?
私たち人間は三大栄養素をエネルギー源として食物から摂取しています。
三大栄養素は糖質・脂質・たんぱく質ですが、それらをまんべんなく取り入れているのです。
日本人の摂取カロリーの割合は次の通りで、以下の図のようなになっています!!
私たちは糖質から約60%ものエネルギーを摂取しています。
この糖質は主に植物性の多糖類です。
もうなんとなくわかっているかと思いますが、その植物性多糖類とはでんぷんのことです。
ご飯、パン、麺類、イモ類など私たちは主食としてその植物性多糖類であるでんぷんを多く摂取しているのです。
体内に吸収された糖質は、各細胞で分解されてエネルギーを生み出し供給します。
食物中の糖質は主にでんぷんという形ですが、小腸で吸収された時点では単糖類であるグルコースに分解されています。
詳しくはこの記事で復習してみていください!
【必見!】炭水化物や糖質の消化吸収の仕組みを簡単にまとめてみた!
体内に吸収されたグルコースは肝臓や筋肉で万が一に備えてグリコーゲンに変えて貯蓄しています。
グリコーゲンはグルコースが結合した多糖類です。
グリコーゲンとして貯蓄できる量は一定なので、それ以上にグルコースが余ってしまった場合は肝臓や脂肪組織で脂肪としても貯蔵されます。
グルコースは一定以上の量が血液の中にあると困るので、余ったらすぐにグリコーゲンや脂肪に変換して血液中のグルコース量を一定に保っているのです。
この血液中のグルコース量のことを血糖値なんて言います。
血糖値に関しては、もしかすると聞いたことがあるかもしれません。
こうして食後に大量の糖質(主にグルコース)が血液中に流れ込んだ後は、血糖値を下げるためにグルコースは肝臓や筋肉でグリコーゲンに変換され貯蔵されたり、脂肪組織に取り込まれて脂肪に変換するのです。
もちろん血液中に存在するグルコースはエネルギー源としても各細胞で利用されています。
なのでどうしても食事をしない時間が長くなると血糖値が下がってきます。
それは血液中のグルコースが各細胞でエネルギー源として利用されていくからです。
こうして血糖値が下がってくると今度は逆に肝臓のグリコーゲンが分解されて血糖を供給します。
しかしこのグリコーゲン量は約半日~1日分に過ぎません。
さらに絶食期間が長くなると、糖新生といって新たに筋肉のたんぱく質などが分解されて血糖を供給します。
このように糖質は主に人間が生きていくのに必要なエネルギー源としての役割が大きいといえます。
糖質代謝はそれ以外にも核酸合成、脂肪酸合成、解毒作用に必要な物質も作り出しています。
さらには複合的な糖質を作り出すことで細胞間の情報の伝達物質などとしても働いているのです。
私たちの身体を作る細胞は約60兆個存在しています。
その60兆もの細胞には様々な種類が存在し、約200種類以上あると言われています。
それら全ての細胞の表面には複合的な糖質が存在して細胞の識別や相互作用に利用されているのです。
その他、ホルモンや細胞の増殖因子、細菌やウィルス感染における受容体としても糖は機能しているのです!
細胞内へのグルコース輸送
糖質は小腸の粘膜において単糖類に分解されて吸収されます。
もし食物中の多糖類や少糖類がどのような過程で小腸粘膜にて分解・吸収されるか知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
【必見!】炭水化物や糖質の消化吸収の仕組みを簡単にまとめてみた!
吸収された単糖類(主にグルコース)は門脈を経て肝臓に送られます。
ここで様々な処理を受けて必要に応じて血液に入り各組織の届けるべく全身に循環していくのです。
小腸に存在する上皮細胞では、グルコースは腸管側から細胞内へのNa⁺(ナトリウムイオン)の流れに引っ張られます。
その流れによって小腸から体内に取り込まれるのです。
このような輸送のことを共役輸送と呼ぶのですが覚えなくて大丈夫です!
この時にナトリウムの力によってグルコースを輸送するのは特殊なたんぱく質なのですが、このたんぱく質をナトリウム依存性グルコース輸送担体と言います。
ナトリウムの力に依存してグルコースを輸送する担体なのでそのまま呼んで字のごとくですね!
このようにグルコースを運ぶときは特殊なたんぱく質の力が必要になります。
ナトリウム依存性グルコース輸送担体は、小腸の腸管から血液中に引っ張ってくる輸送担体でした。
これと同じように、今度は血液中から各細胞にグルコースを引っ張り込む輸送担体が必要になります。
この血液中のグルコースを、各細胞内に輸送する輸送担体も複数見つかっています。
それがGLUTと呼ばれる輸送担体です。
GLUT(グルコース輸送担体)は、 Glucose Transporter の略で、主にグルットと呼ばれています!
このGLUTにはいくつかの種類が存在し
- GLUT1
- GLUT2
- GLUT3
- GLUT4
- GLUT5
- GLUT6
- GLUT7
と様々なグルコース輸送担体が存在しています。
糖質代謝において非常に重要なのは特にGLUT2とGLUT4です。
この二つのGLUT(グルコース輸送担体)は様々な場所で名前が出てくるので覚えておいても良いかと思います!
GLUT2は、常に細胞膜に存在していてグルコースの濃度が高ければ常に細胞内にグルコースを取り込んでいきます。
GLUT2は他にもインスリンというホルモンの分泌を促進したりしています。
GLUT4は、いつもは細胞膜ではなく細胞の中にいるのですが、インスリンの刺激によって細胞膜まで移動していきます。
このようにインスリンの刺激でグルコースを取り込めるようになることをインスリン感受性と呼びます。
GLUT4はインスリンの刺激によって初めて細胞膜まで移動しグルコースを取り込むことが出来るようになるのです。
他のGLUTに関しては、存在する臓器や働きが違っています。
糖質がエネルギー源として利用される糖質代謝に関してはこのGLUT2、GLUT4の2つを覚えていれば良いと思います。
まとめ
今回は糖質代謝の役割や、糖質代謝さわりの部分である吸収後にどのように細胞に取り込まれるかについて簡単に解説しました。
糖質代謝の役割としては、その主がエネルギー源として利用です。
しかし、その他にも糖質代謝には役割が存在しています。
- 核酸合成に必要な物質の生成
- 脂肪酸合成に必要な物質の生成
- 解毒作用に必要な物質の生成
- 複合糖質を作ることで細胞間情報伝達物質として働かく
- 複合糖質は細胞の識別や相互作用に利用される
など多岐にわたります。
もちろん栄養学に学ぶ上ではそこまで頻繁に出てくることはないので、糖質はエネルギー源以外にも体内で様々な働きをしているんだなぁくらいで構いません。
また、小腸で吸収された糖質(グルコース)は特殊な輸送担体というものによって血液中に放出されます。
さらに様々なグルコース輸送担体によって細胞内に入り込むことができます。
こうして各種細胞内に入り込んだグルコースは、エネルギー源として分解されてエネルギーを生み出し、最終的には水と二酸化炭素になるのです。
細胞内に入ってからの糖質の代謝は栄養学的には非常に重要です。
次回からその細胞内で行われる糖質がエネルギーになっていく過程をできるだけ簡単にわかりやすく解説していければと思います。
それでは次回の記事を楽しみにしていてください!