【これで解決!】β酸化の代謝経路を教科書より優しく解説してみた!

こんにちは!

私は平成生まれの管理栄養士です!

今回は脂肪酸のβ酸化という代謝経路について詳しく解説していきたいと思います!

この脂肪酸のβ酸化は、脂肪が燃焼するときに起きる現象です。

脂肪がエネルギー源として利用される時にこのβ酸化が重要になります。

今回の記事をなんとなく理解できれば、ダイエットにも役立つのではないでしょうか?

それでは早速β酸化について見ていきましょう!

脂肪酸をちょいと復習

脂肪酸は中性脂肪を構成するものです。

みんながよく口にする「最近食べ過ぎてお腹に脂肪がついちゃったんだよね・・・」脂肪とは中性脂肪を意味します。

中性脂肪は専門用語で【トリアシルグリセロール】【トリグリセリド】なんて呼んだりします!

私たち管理栄養士は略して【トリグリ】なんて言ったりしています。

この中性脂肪を構成しているものが脂肪酸です。

では中性脂肪の構造を見ていきましょう!

上の図を見ると、中性脂肪はグリセロールに脂肪酸が3つくっついた形をしているのがわかると思います。

中性脂肪の専門用語であるトリアシルグリセロールやトリグリセリドのトリは3つという意味です。

トリプルやトリオのトリです!

このように脂肪酸が3つグリセロールに結合して中性脂肪になるのですが、逆に中性脂肪が分解されるとグリセロールと脂肪酸3つになるということです。

脂肪が燃焼するということは、この中性脂肪が分解されてグリセロールと3つの脂肪酸になり、それぞれエネルギー源として利用されるということを意味します。

脂肪酸の構造もβ酸化を学ぶ上で大事になりますので少しだけ紹介します!

脂肪酸は炭素(C)酸素(O)水素(H)によって構成されています。

例えば脂肪酸の一種である炭素数が16個のパルミチン酸だとこのような形です。

脂肪酸の種類

脂肪酸にはたくさんの種類があります。

脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分類されます。

そしてこの不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸の2つに分類されるのです。

多価不飽和脂肪酸はその構造上の違いによってオメガ3系オメガ6系に分かれます。

脂肪酸の詳しい解説はこちらの記事でご覧ください!

【教科書よりも優しい】脂肪酸の分類や種類をわかりやすく解説してみた!

たくさんの脂肪酸が世の中には存在するのですが、食品中の油脂類はこれらの脂肪酸の組み合わせによって油の性質が変わってくるのです。

食品中に含まれる中性脂肪は、消化過程でグリセロールとその食品特有の脂肪酸に分解されて、そのままエネルギー源として利用されます。

食品中にどのような脂肪酸が多く含まれているかはこちらの記事をご覧ください!

【必見!】脂質の消化吸収の仕組みを教科書より優しくまとめてみた!

身体に蓄えられた中性脂肪(一般的に言われる脂肪)もグリセロールと脂肪酸に分解されてエネルギー源として利用されます。

こうして食品中に含まれる中性脂肪から得た脂肪酸、もしくは自分の体内で蓄えておいた中性脂肪を分解して得た脂肪酸をさらに分解してエネルギーを生み出しているのです。

この脂肪酸のさらなる分解こそ、今回解説するβ酸化とういうことになります。

β酸化を行うことで、脂質はものすごい量のエネルギーを生み出します。

脂肪酸がエネルギーになるまでの概要

脂肪酸が酸化されるということは脂肪酸からエネルギーが発生するということです!

先ほども説明したように、脂肪酸からエネルギーを生み出す時、その脂肪酸の入手方法は2つです!

  1. 食物中の中性脂肪を分解して脂肪酸を得る
  2. 体内に蓄えている脂肪(中性脂肪)を分解して脂肪酸を得る

 

こうして得られた脂肪酸をミトコンドリアへ運び、ミトコンドリアのマトリックスででβ酸化を行います。

そうすることで大量のエネルギーが生み出されていくのです!

上の図の大まかな流れが頭に入っていることで理解しやすくなるかと思います。

それではβ酸化について見ていきましょう!

脂肪酸のミトコンドリア内への移動

脂肪酸がβ酸化を受けて大量のエネルギーを生み出すためには、まず脂肪酸をミトコンドリアへ運ばないといけません。

β酸化は各細胞のミトコンドリア内でしか行えないのです。

なのでまず脂肪酸をアシルCoAシンターゼによってアシルCoAに変換します。

この時ATPというエネルギーを利用します。

このように脂肪酸のβ酸化は最初にエネルギーを必要とするのです!

エネルギーを使い脂肪酸から変換されたアシルCoAはミトコンドリアへ入ります。

しかし、ミトコンドリアは外膜と内膜という2重の膜で構成されているためアシルCoAは外膜は通過できても内膜は通過できません。

アシルCoAはミトコンドリア内膜を通過できないので今度はカルニチンと結合してアシルカルニチンとして内膜を通過します。

よくダイエットする人がカルニチンというサプリメントを飲んでトレーニングや運動をしているのですが、それはこうした理由からです!

カルニチンがないと脂肪酸をミトコンドリア内へ運ぶことができません。

つまり脂肪が分解されて脂肪酸になっても、それがミトコンドリアへ入れなければエネルギー源として利用されません。

カルニチンはこの手助けをするので、カルニチンは脂肪が燃焼するのを助けると一般的に言われているのです。

しかし、このカルニチンは体内にたくさん存在します。

特に筋肉に多く存在していて、肝臓または腎臓でリジンとメチオニンから作られるのです。

なのでたんぱく質をしっかり食事から摂取さえしていれば、サプリメントからカルニチンを摂取しなくてもある程度は体内だけでカルニチンはまかなえるのです。

話をアシルCoAがカルニチンと結合してミトコンドリア内を通るところに戻します。

上の図を見ながら解説を見ていってくださいね!

アシルCoAはミトコンドリア外膜にある酵素カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠによってアシルカルニチンに変換されます。

この時アシルCoAのCoAは一度外されます。

そしてミトコンドリア内膜に存在するカルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(アシルカルニチン交換体)によって内膜の内側にアシルカルニチンを輸送します。

さらに、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡによってカルニチンをアシルカルニチンから切り離し、そこにCoAを再びくっつけてアシルCoAができます。

切り離されたカルニチンはミトコンドリア外膜へ戻り次のアシルCoAがミトコンドリア内膜を通過するときに備えます。

こうして脂肪酸はアシルCoAに形を変えてミトコンドリア内膜の内側へと移動していきました。

アシルCoAはここからβ酸化を受けて大量のエネルギーを生み出すのです!

β酸化の概要

そもそもβ酸化はなんでβ酸化というのでしょうか?

βがあるのだから、α酸化などがあるのでは?そう思う方もいるかもしれません。

実はβ酸化以外にもα酸化やω酸化というものがあります。

しかし、人の体内で行われる反応のほとんどがβ酸化なので、β酸化以外は覚えなくてOKです!

次の図を見てください!

このように、炭素の位置でω位、β位、α位という名前がつきます。

β酸化は、このβ位とα位の間の結合が切れて、炭素の数が2つのアセチルCoAとして長い炭素の鎖から2つずつ炭素がどんどん放出されていきます!

例えば炭素数が16個のパルミチン酸の場合は7回β酸化を受けて8個のアセチルCoAができます。

少し詳しく見ていきましょう!

  1. β酸化1回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り14個)+アセチルCoA①
  2. β酸化2回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り12個)+アセチルCoA②
  3. β酸化3回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り10個)+アセチルCoA③
  4. β酸化4回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り8個)+アセチルCoA④
  5. β酸化5回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り6個)+アセチルCoA⑤
  6. β酸化6回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り4個)+アセチルCoA⑥
  7. β酸化7回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り2個)+アセチルCoA⑦
  8. パルミチン酸の炭素数残り2つがアセチルCoA⑧に

 

このようにパルミチン酸からは8つのアセチルCoAが最終的に生み出されます。

こうして生み出されたアセチルCoAはTCAサイクルに合流してエネルギーを大量に作り出します。

炭素数が偶数の場合は今のようにきれいにアセチルCoAに変換されていくのですが、奇数の場合はそうはいきません。

最終的に炭素が1つ余ってしまうのです。

この炭素数が奇数の脂肪酸がβ酸化を繰り返して最終的に余った1つの炭素はアセチルCoAではなく、プロピオニルCoAとなります。

プロピオニルCoAはTCAサイクル内のスクシニルCoAに変換され代謝されていきます。

TCAサイクルについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

【必見!】TCAサイクルについてできるだけ簡単に解説してみた!

β酸化の一連の代謝サイクル

脂肪酸(アシルCoA)は2個ずつ炭素が取れてアセチルCoAになり、それぞれTCAサイクルに入って代謝されていくということはなんとなく理解できたと思います。

ではそのβ酸化は具体的にどのような反応を経てアセチルCoAとなっていくのでしょうか?

少し詳しく解説していきたいと思います!

反応① アシルCoA(炭素数n個) → エイノルCoA

カルニチンのおかげで、アシルCoAはミトコンドリア内膜の内側まで移動が可能になりβ酸化を受けることができるようになります。

β酸化の一番最初の反応ではアシルCoAがアシルCoAデヒドロゲナーゼという酵素によってエイノルCoAに変換されます。

この反応でFADH₂が生成されます。

FADH₂は電子伝達系にてエネルギーを生み出します。

反応② エイノルCoA → 3-ヒドロキシアシルCoA

エイノルCoAは、エイノルCoAヒドラーゼという酵素によって3-ヒドロキシアシルCoAとなります。

反応③ 3-ヒドロキシアシルCoA → 3-ケトアシルCoA

3-ヒドロキシアシルCoAは、3-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼという酵素によって3-ケトアシルCoAになります。

この反応でNADH₂⁺が生成されます。

NADH₂⁺は電子伝達系にてエネルギーを生み出します。

反応④ 3-ケトアシルCoA → アセチルCoA + アシルCoA(炭素数n-2個)

3-ケトアシルCoAは、3-ケトアシCoAチオラーゼという酵素によってアセチルCoA炭素数が元の数より2つ減ったアシルCoAを生成します。

なぜここで生成されたアシルCoAが元の数より炭素数が2つ少ないかというと、この炭素数2つ分がアセチルCoAとして引き抜かれたからです。

こうして炭素数が2つ少なくなった新たなアシルCoAは、今たどってきた①~④の反応を繰り返していくのです!

β酸化が何回も繰り返されて、炭素数が4つのアシルCoA(炭素数が4つのアシルCoAをブチルCoAという)ができたら、最終的に2つのアセチルCoAとなりβ酸化はここで終了です。

炭素数が偶数個の脂肪酸の場合はβ酸化で2つずつ切り離されていくのできれいにβ酸化が終わります。

しかし、先ほども説明したように炭素数が奇数個の脂肪酸の場合は最後に1つ炭素が残ってしまいます。

この残りはプロピオニルCoAとなってTCAサイクル内のスクシニルCoAに変換されて代謝されていくのです。

これらをまとめると、

  • 炭素数が偶数個の脂肪酸の場合・・・炭素数が2個ずつのアセチルCoAが生成されそれぞれTCAサイクルによって代謝される
  • 炭素数が奇数個の脂肪酸の場合・・・炭素数が残り1つになるまでは炭素数が2個ずつのアセチルCoAが生成されそれぞれTCAサイクルによって代謝されるが、最後に余った炭素1個はプロピオニルCoAとなりさらにTCAサイクル内のスクシニルCoAに変換され代謝される

 

このようになります。

最後にβ酸化の内容をまとめた図を載せておきますので確認してみてください!

まとめ

今回β酸化について解説してきました!

それではここで重要なポイントをまとめていきたいと思います!

 

脂肪酸が分解されてエネルギーになるまでの概要

 

脂肪酸のミトコンドリアへの移動

 

炭素数が16個のパルミチン酸のβ酸化によるアセチルCoAの生成例

  • β酸化1回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り14個)+アセチルCoA①
  • β酸化2回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り12個)+アセチルCoA②
  • β酸化3回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り10個)+アセチルCoA③
  • β酸化4回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り8個)+アセチルCoA④
  • β酸化5回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り6個)+アセチルCoA⑤
  • β酸化6回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り4個)+アセチルCoA⑥
  • β酸化7回目・・・アシルCoA(パルミチン酸の炭素数残り2個)+アセチルCoA⑦
  • パルミチン酸の炭素数残り2つがアセチルCoA⑧に

炭素数16個のパルミチン酸から生成されるアセチルCoA数・・・8個

 

β酸化の一連の代謝サイクル

 

β酸化による脂肪酸の代謝概要

 

いかがでしたか?

それでは次の記事も楽しみにしていてくださいね!