【浸透圧とは?】できるだけわかりやすく解説してみた!
こんにちは!
私は平成生まれの管理栄養士です!
今回は、スポーツ栄養においても重要な水分補給と密接に関係している浸透圧という概念について解説していきたいと思います!
競技のパフォーマンスを上げるための水分補給などでよく目にする【アイソトニック飲料】や【ハイポトニック飲料】
これらの利用方法や使い分けを理解するためには浸透圧というものの理解が少し必要になりますので是非覚えてほしいと思います!
この記事は『栄養学やこういった難しい話が苦手なんです!』という初心者の方向けに、できるだけイメージしやすいような表現や言葉を使って解説していこうと思います!
もっと詳しく正確に浸透圧について知りたいと言う方は違う記事を探してみてください!
それでは早速浸透圧の概要について見ていきましょう!
浸透圧が生じるためには半透膜が必要
スポーツ栄養学において、今回解説する浸透圧を理解すれば水分補給の役割や、スポーツドリンクの使い方を理解することができます!
浸透圧にはまず膜の存在を理解しないといけません。
あるものを覆い隔てているもののことを膜と呼びます。
例えば風船は、中の空気と外の空気を仕切っている膜です。
このような膜は、私たち人間の身体を構成する細胞にも存在します。
それが細胞膜というものです!
この細胞膜は、細胞の中にある水分や核など様々な物質を覆っている膜です。
この細胞膜があることで細胞の中の構造をしっかりとキープすることができるのです。
さらに細胞膜は、細胞の内と外の物質の移動にも一役買っています。
酸素や二酸化炭素、グルコースやその他の栄養素などはこの細胞膜を通して細胞の内側と外側とをいったりきたり移動しているのです。
その一方で、それらを運搬してくれる赤血球やその他の物質は細胞の中に入ることは決してありません。
細胞膜には、ある物質は膜を通して細胞内外で入れ替えを行うが、ある物質は膜を通さないというフィルターとして役割があるのです。
このような働きをする膜を半透膜(はんとうまく)と呼びます。
浸透圧が生じる理由とは?
ここでは図を使ってわかりやすく解説していきたいと思います!
下の図のようにUの字を書いた試験管を用意します。
この容器の右側半分と、左側半分を半透膜で仕切っている状態です。
ここに純粋な水を入れても特に何も起こることはありません。
それは、半透膜を左右で水の分子が行ったり来たりしていますが、移動している分子の量が同じのため全体としてはどちらにも水は移動をしていないことになります。
例えば、右から左に3つ、左から右にも3つというように、同じ分だけ左右に移動しているので結局は変化なしということです!
この状態が浸透圧が生じていない状態です。
それでは、食塩を右側にのみ加えてみましょう!
すると水は右側に動くのです。
このU字の容器の右半分は食塩+水、左側は水のみとなっていますね!
液体に何かが溶けた状態では、濃度の異なった2種類の液体を半透膜を挟んで隣り合わせに置くと、お互いに同じ濃度になろうとするという働きが生まれます。
今はまさにこの状態で、右側は食塩が溶けているために濃度の異なった2種類の液体がお互いに同じ濃度になろうとしているのです。
しかし、食塩は半透膜によって膜の左側へは移動できません。
水は今まで通り半透膜を通過して自由に移動することができます。
右側が明らかに濃い溶液になっているので、同じ濃度になろうとして結果的に水が左から右に移動することになるのです。
このように水が半透膜で仕切られた一方から、もう一方へ流れようとする現象を浸透と呼びます。
そしてこの同じ濃度になろうと水が移動することで、試験管の両側の液体に高さの差が生まれます。
この高さの差は圧力差になり、この圧力を浸透圧と呼ぶのです。
これは右側に食塩ではない物質を混ぜても同じことが起きます。
例えば、お砂糖などでも同じようなことが起きます!
体内でいえば、この食塩がNa⁺(ナトリウムイオン)にあたりますし、砂糖がグルコースにあたります。
浸透圧が高い、低いとは?
浸透圧という概念はなんとなく理解して頂けたと思います。
それでは具体的には【浸透圧が高い】【浸透圧が低い】とはどういうことなのでしょうか?
- 浸透圧が高い:溶液の濃度が高い
- 浸透圧が低い:溶液の濃度が低い
簡単に表現すると以上のようになります。
例えば、海水と淡水(川の水)で比較してみましょう!
海水は塩分濃度が濃いですが、淡水はほぼ真水ですよね?
ということは、淡水よりも海水の方が浸透圧が高くなります。
半透膜を挟んで右側に海水を、左側に淡水(川の水)を入れると、海水の方が浸透圧が高いので左側の淡水から右側の海水の方へ水の移動が生じます。
液体の濃度が異なる溶液を2つこのように半透膜を挟んで入れると、必ず浸透圧が低い方から高い方へ移動するのです。
漬物とは浸透圧を利用した食品!?
実は身近にこの浸透圧の原理を上手く利用した食品があります。
それが漬物です。
漬物は塩をまぶして水分を抜き、 そこに出汁など様々な味を入れて作ります。
この塩をまぶした時に水分が抜ける現象こそ浸透圧による作用ですね!
野菜の細胞も硬い細胞壁の内側に、物質を入れ替えをしている細胞膜があり、その細胞膜は半透膜です。
半透膜なので細胞の内外へと移動できる物質とそうでない物質があるということです。
塩の粒は細胞膜を通過できません。
なので内側と外側の濃度を一定にしようとして細胞の内側の水分が外に染み出してくるのです。
塩をまぶすことで、細胞の外側の浸透圧が高くなり、細胞内の浸透圧が低いことで水が染み出してくるということです。
こうして細胞内の水分が抜けたことで植物は形を維持することができなくなり、クタクタもしくはシナシナになるのです。
ナメクジさんに塩をかけると、しぼんでいってしまうのも全く同じ原理です!
まとめ
浸透圧が生じるためにはまず半透膜という膜の存在が必要になります。
半透膜は、ある物質は膜の内側と外側で移動させることができるが、ある物質は膜を通さないという特徴があります。
こうした半透膜を隔てて、隣同士になった濃度の異なる溶液は、常に一定の濃度になろうとします。
このような浸透圧の作用によって、漬物ができたりするのです。
いかがでしたでしょうか?
今回は浸透圧についてできるだけ簡単に解説してきたつもりです!
もっと専門的に浸透圧について知りたい方は専門的な教科書や他の記事などで勉強してみてください!
それでは次回の記事も楽しみにしていてくださいね!