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【優しすぎる解説!?】たんぱく質・アミノ酸の代謝についてまとめてみた!

あじ
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こんにちは!元高校球児の管理栄養士あじです。 スポーツ選手の食事や栄養学について『わかりやすく!』をモットーに情報発信しています!
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平成生まれの管理栄養士です!

今回は三大栄養素の1つであるたんぱく質の代謝について詳しく解説していこうと思います。

私たちが食品中から摂取するたんぱく質が、どのように代謝されて筋肉や他の組織に生まれ変わるのか?

また、どのように分解されて排泄されていくのか?

そんなたんぱく質の一連の代謝について見ていきたいと思います!

たんぱく質の構造の復習

たんぱく質の構造を少しだけ復習することで、たんぱく質の代謝について理解しやすくなると思います。

ということで、たんぱく質の構造について少し復習しておきます。

たんぱく質を簡単に表現すると、このようにアミノ酸で連なった糸が複雑に絡み合って構造を成しています。

さらにこの糸を拡大してみると次の図のようになります。

たんぱく質はまずこの画像のようにアミノ酸がネックレスのように連なってできています。

つまり、たんぱく質とはアミノ酸の集合体なのです。

もちろん正確にはもっと複雑ですが簡単にそう覚えてください!

さらに、そのたんぱく質を構成するアミノ酸はこのような元素によって作らています。

この中の硫黄(S)についてはアミノ酸によっては、存在するアミノ酸と存在しないアミノ酸が存在していますが、それ以外の窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)は全てのアミノ酸に存在しています。

そして次の図のように、側鎖と呼ばれる部分の違いによってアミノ酸の種類がわかれるのです。

側鎖以外はどのアミノ酸も共通なつくりになっています。

たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されていて、その種類や配列によって様々なたんぱく質に姿を変え、それぞれ働きや機能も大きく異なります。

つまり、たんぱく質の違いとは含まれているのアミノ酸の種類やその配列の仕方の違いということになります。

そして、たんぱく質を構成しているアミノ酸は次の20種類です。

このようにたんぱく質を構成するアミノ酸20種類は、体内で作ることができず食品から摂らないといけない必須アミノ酸9種類と、体内で作りだせる11種類の非必須アミノ酸に分けられます。

もう少したんぱく質の構造について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

たんぱく質の機能

たんぱく質の代謝について考えるときに重要なのが、体内においてのたんぱく質の働きについてです。

たんぱく質の体内での役割や働きは、大きく次の2つに分けることができます。

  1. 構造的な働き
  2. 機能的な働き

構造的な働きからみていくと、人間はたくさんの細胞からできていますが、たんぱく質はその細胞の基本的な物質です。

『人間はたんぱく質(アミノ酸)からできている!』と、謳っているCMや謳い文句をあなたは一度くらいは見たことがあると思います!

  • 人間=細胞でできている
  • 細胞=たんぱく質が基本的な物質

よって、人間=たんぱく質でできている となるのです。

このように、まずたんぱく質は人間を構造するという働きがあるのです。

また、たんぱく質は骨や筋肉、皮膚、毛髪など私たちが目に見える固体としても存在しています。

このようにたんぱく質は私たちの身体を形作る上で重要な物質なのです。

そのため、たんぱく質は重量的にも多く体重の約15~20%もあります。

体重が60kgの場合、おおよそ10kg程度がたんぱく質なのです。

そのうち、コラーゲンというたんぱく質が一番多く、骨や軟骨、腱、細胞間物質として存在しています。

コラーゲンは体内にある体たんぱく質の約1/3を占め、体重60kgの場合だと約3~4kg程度がコラーゲンなのです。

一方で、たんぱく質は機能的な働きもあります。

私たちが生きるためには様々な生理的機能が必要となります。

身体の中では常にたくさんの化学反応が起きていて、その化学反応をスムーズに効率よく行うために働く酵素。

身体の機能を調節するホルモンや、物質を運ぶ担体、身体を守る免疫などなど・・・

その他にもたくさんの機能をもつたんぱく質が存在しているのです。

ということで、その一部を紹介したいと思います!

分類 主な機能 たんぱく質の例
構造 骨格、皮膚、結合組織 コラーゲン(骨、皮膚、腱など)
収縮 筋肉、細胞の運動 アクチン(筋肉)、ミオシン(筋肉)、チュブリン(繊毛)
酵素 生体反応の触媒 消化酵素、アミノ基転移酵素など約3000種類
ホルモン 代謝調節 インスリン、グルカゴン、成長ホルモンなど
輸送 物質輸送 ヘモグロビン(O₂・CO₂運搬)、リポたんぱく質(脂質運搬)など
防御 生体の防衛反応 免疫グロブリン(免疫)、フィブリノーゲン(血液凝固)など
恒常性 浸透圧の調節、㏗の調節 体液中のたんぱく質濃度、たんぱく質の両極性など
栄養 貯蔵、栄養源、熱量源 1gあたり4kcal(生理的燃焼価)のエネルギーを発生

このように、私たちが普段意識しているたんぱく質によるエネルギー(カロリー)量など熱量源としての働きは、たんぱく質がもつ多くの働きの1つに過ぎないのです。

また、糖質や脂質はたんぱく質のようにここまで様々な機能を持ちません。

これがたんぱく質が三大栄養素の中で最もリスペクトされる要因の1つではないでしょうか!

【たんぱく質節約効果】糖質・脂質が不足するとどうなるの?

先ほど最後にたんぱく質のエネルギー源としての働きにふれました。

確かにたんぱく質は1g4kcalの熱量を生み出します。

しかし、それと同時に体たんぱく質には多くの働きや機能があるということも学びましたね!

たんぱく質は体内のエネルギー源が不足した状態だと、その本来の機能である体構成成分や各機能たんぱく質としての保持を犠牲にしないといけません。

つまり糖質・脂質からのエネルギーが不足している場合は、体たんぱく質は酸化されてエネルギー源となってしまうのです。

また、そのような状況でたんぱく質を食事から摂取しても、そのたんぱく質はエネルギー源に変わり利用され続けてしまいます。

空腹時(エネルギー不足時)に筋肉(体たんぱく質)が分解される現象は、その代表的な例ですね!

一方で糖質・脂質から十分なエネルギー源が存在する場合、食事由来のたんぱく質は本来の構成成分や各機能たんぱく質としての働きのために供給されます。

これは体内にたんぱく質として残る量が増えるということです。(エネルギー源として利用されないため)

このことをたんぱく質節約作用と呼び、たんぱく質以外からもしっかりとエネルギー源を摂取することの重要性が注目されているのです。

体たんぱく質の動的平衡

体たんぱく質は体内で様々な働きがあり、種類もたくさんあるということがわかりましたね!

これらの体たんぱく質は体内で絶えず合成と分解が繰り返し行われています。

こうして常に新しい体たんぱく質が作り変えられていて、私たちの生命が維持されているのです。

このような状態を体たんぱく質の動的状態と呼び、体たんぱく質を常に作り変え続けることを代謝回転と言ったりします。

体重60kgの一般的な人の場合は、1日に約180gのたんぱく質が分解と合成を繰り返しています。

  • 一日に分解されている体内のたんぱく質の量・・・180g
  • 一日に合成されている体内のたんぱく質の量・・・180g

こうして日々体内のたんぱく質量が均衡を保っているのです。

計算上は±0なので変化がないように見えますが、体内では新しいたんぱく質と古いたんぱく質が日々入れ替わっているのです。

つまり、たんぱく質の代謝の回転が行われているということです。

 

例えば食事からたんぱく質を80g摂取するとします。

すると、たんぱく質80g分に相当する窒素を含む成分が排泄されます。

たんぱく質の構造を見ればわかりますが、必ず窒素が含まれています。

上の図のようにたんぱく質には窒素が一定の割合含まれているので、例えば排泄された窒素量を調べれば、その窒素量から計算によって排泄されたたんぱく質量がどのくらいかがわかるのです。

基本的には食事から摂取したたんぱく質量と同じくらいのたんぱく質量が排泄されています。

このように、たんぱく質の摂取量と排泄量のバランスが取れて、体内で様々な体たんぱく質の分解と合成の量が釣り合っている状態を動的平衡といいます。

健康な成人はだいたい次のような動的平衡状態にあります。

たんぱく質の代謝の全体図とアミノ酸プール

ここから吸収されたたんぱく質が体内でどのように代謝されるのか?その概要を見ていきたいと思います!

たんぱく質を食品から摂取して、どのように消化され吸収されるのか詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

食品中のたんぱく質は、消化される過程でアミノ酸になります。

こうして吸収されたアミノ酸は、体たんぱく質由来のアミノ酸と合流するのです。

これをアミノ酸プールと呼びこれらのアミノ酸から、再度体たんぱく質へ合成されるのです。

このアミノ酸プールの一部のアミノ酸は、分解されてエネルギー源として利用されます。

また、糖質や脂質にも変換される場合もあります。

体内で糖が足りない場合には、アミノ酸から糖を作りだす糖新生という代謝があります。

糖質・脂質などエネルギー源が十分で、たんぱく質も摂り過ぎた場合には、アミノ酸を分解することで脂質に変換し脂肪として蓄えられるのです。

このようにたんぱく質を分解して得られたアミノ酸の代謝概要は以下の図のように表すことができます。

  • ①消化によってアミノ酸を生じる
  • ②腸管から吸収されたアミノ酸は門脈を経て肝臓に運ばれる。
  • ③肝臓のアミノ酸は血液を介して全身の組織と交流する。
  • ④各組織は必要な体たんぱく質を作るためにアミノ酸から合成する。
  • ⑤体たんぱく質を作り変えるために分解しアミノ酸を供給する。
  • ⑥アミノ酸から得られた窒素を利用し、たんぱく質以外の非たんぱく質性窒素化合物を作る。
  • ⑦アミノ酸をアミノ基と非窒素部分(炭素骨格部分)に分解される。
  • ⑧アミノ基の大部分は最終的に尿素となり排泄される。
  • ⑨炭素骨格部分は糖・脂肪酸の代謝経路に入りエネルギー源として利用される。
  • ⑩アミノ基と炭素骨格からアミノ酸が合成され再利用される。

※組織のたんぱく質は④の合成と⑤の分解によって絶えず新しい体たんぱく質と古い体たんぱく質の交代が行われています。

体たんぱく質の合成

先ほど紹介した図の④では体たんぱく質の合成が行われていました。

食事由来のアミノ酸や、もともとあった体たんぱく質由来のアミノ酸によって新たな体たんぱく質が生まれるのです。

最初に体重が60kgの人場合は、一日に合成される体たんぱく質量が約180gであるという話をしました。

これは年齢によって一日に合成される体たんぱく質量が違うのですが、成人は体重1kgあたり3gの体たんぱく質が合成されているといわれています。

60kg × 3g = 180g という計算ですね!

  • 新生児(1~45日)の場合・・・17.4g/kg/日
  • 幼児(10~20ヶ月の平均)の場合・・・6.9g/kg/日
  • 成人(20~23歳)の場合・・・3.0g/kg/日
  • 高齢者(61~91歳)の場合・・・1.9g/kg/日

このように、年齢によって体たんぱく質合成能力は変わっていくのです。

赤ちゃんが物凄いスピードで大きくなっていくのは、この体たんぱく質の合成能力が高いからです。

一方で年齢を重ねると、若い頃と比べて肌のターンオーバーが遅くなったり、怪我が治るのに時間がかかりますね!

これは体たんぱく質の合成能力や分解能力など全体的にたんぱく質の代謝速度が落ちているからです。

人体の各臓器のたんぱく質の代謝回転

最後はたんぱく質の代謝回転についてです。

これまで、人間の体内では常に体たんぱく質が生まれ変わるために合成と分解か行われているという説明をしてきました。

ここでは身体の部位によってどのようにたんぱく質が代謝回転していくのかについてみていきます。

下の表にまとめてみましたのでご覧ください!

臓器 代謝回転が速い成分 代謝回転が遅い成分
割合 代謝日数 割合 代謝日数
人体全体 53% 22日 47% 130日
46% 16日 54% 150日
肝臓 97% 12日 3% 140日
腎臓 92% 11日 8% 180日
筋肉 60% 16日 40% 100日

このように、各部位には代謝回転が速いたんぱく質と遅いたんぱく質が存在しています。

肝臓や腎臓では代謝回転が速いたんぱく質では10日程で生まれ変わります。

一方代謝回転が遅いたんぱく質では、2~3ヶ月かけて生まれ変わるものもあります。

こうして、全体的にみれば人体は6ヶ月もあれば全て新しく生まれ変わっているということになります。

まとめ

ここで重要なポイントをまとめていきたいと思います!

たんぱく質の節約効果

糖質・脂質が不足している状態では、たんぱく質が持っている本来の役割や機能を果たせずエネルギー源として利用されてしまう。

逆に糖質・脂質が充足している場合には、たんぱく質が節約される。

 

たんぱく質の動的平衡

たんぱく質は絶えず体内で分解と合成が行われていて、均衡を保っている。

 

たんぱく質の代謝の概要

  • ①消化によってアミノ酸を生じる
  • ②腸管から吸収されたアミノ酸は門脈を経て肝臓に運ばれる。
  • ③肝臓のアミノ酸は血液を介して全身の組織と交流する。
  • ④各組織は必要な体たんぱく質を作るためにアミノ酸から合成する。
  • ⑤体たんぱく質を作り変えるために分解しアミノ酸を供給する。
  • ⑥アミノ酸から得られた窒素を利用し、たんぱく質以外の非たんぱく質性窒素化合物を作る。
  • ⑦アミノ酸をアミノ基と非窒素部分(炭素骨格部分)に分解される。
  • ⑧アミノ基の大部分は最終的に尿素となり排泄される。
  • ⑨炭素骨格部分は糖・脂肪酸の代謝経路に入りエネルギー源として利用される。
  • ⑩アミノ基と炭素骨格からアミノ酸が合成され再利用される。

 

年齢と体たんぱく質代謝速度の違い

新生児がたんぱく質代謝速度が最も速く、年齢を重ねるごとに遅くなっていく。

 

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