アスリートや栄養学初心者の方にオススメです!

【必見!】脂質の消化吸収の仕組みを教科書より優しくまとめてみた!

あじ
WRITER
 







この記事を書いている人 - WRITER -
あじ
こんにちは!元高校球児の管理栄養士あじです。 スポーツ選手の食事や栄養学について『わかりやすく!』をモットーに情報発信しています!
詳しいプロフィールはこちら

こんにちは!

私は平成生まれの管理栄養士です。

前回は栄養学入門として糖質の消化吸収の仕組みを解説してきました。

糖質の消化吸収に続いて今回は脂質の消化吸収の仕組みについて書いていこうと思います。

脂質の分類なども復習しながら話を進めていこうと思います。

できるだけ、図などを使って視覚的に覚えられるようになっていますので是非読み進めてくださいね!

それでは早速見ていきましょう!

脂質の消化吸収の仕組みを理解するために脂質の分類が超大事!

糖質の消化吸収と脂質の消化吸収で違うところは、その分類や種類によって吸収過程が違うということです。

小腸の吸収上皮細胞で吸収された後にリンパ管に入っていく脂質もあれば、そのまま血液に乗って門脈を経て肝臓に運ばれる脂質もあるのです。

なので脂質の消化吸収の仕組みを理解する上では必ず脂質の分類や種類を理解する必要性があります。

では脂質の分類について少し簡単に解説していきましょう!

詳しく最初から脂質の分類を詳しく知りたいという方はこちら

参考記事①→脂質の分類や働きを簡単に解説してみた!
参考記事②→脂肪酸の分類や種類を簡単に解説してみた!

 

まず簡単に脂質の分類を説明すると、脂質は次のように分類されます。

  • 単純脂質・・・脂質の構造が単純なもの
  • 複合脂質・・・脂質にリンや糖など脂質以外の成分と一緒に複合的な構造
  • 誘導脂質・・・単純脂質や複合脂質から分解されるなど少し形を変えたもの

 

具体的にどのような脂質がそこに分類されているかというと、

  • 単純脂質・・・トリアシルグリセロール(中性脂肪)
  • 複合脂質・・・リン脂質、糖脂質など
  • 誘導脂質・・・脂肪酸、コレステロール、脂溶性ビタミンなど

 

このようになっています。

これらを簡単にまとめた図がこちらですのでご覧ください!

なんとなく脂質という大きな総称が、少しザックリとですが分類することができたのではないでしょうか?

簡単に分類ができたところで実際に消化吸収について説明していきます!

食事から摂取する脂質の多くがトリアシルグリセロール(中性脂肪)

先ほど脂質の分類について説明しました。

その時もしかしたら「食品中に含まれる脂質も単純脂質や複合脂質、誘導脂質それぞれあるんだなぁ~」と、このように思ったのではないでしょうか?

もちろん複合脂質のリン脂質や、誘導脂質の脂肪酸・コレステロールなども食品中には含まれます。

しかし食品から摂取する脂質と言われたら、そのほとんどがトリアシルグリセロール(中性脂肪)ということを覚えておいてほしいと思います。

実際に例をいくつか見ていきましょう!

食品成分表に記載されている成分は、その食品中に多く含まれている栄養素や食事摂取基準が定められている栄養素が記載されています。

脂質について記載されている成分については次の通りです。

  1. 飽和脂肪酸
  2. 一価不飽和脂肪酸
  3. 多価不飽和脂肪酸
  4. n-3系多価不飽和脂肪酸
  5. n-6系多価不飽和脂肪酸
  6. コレステロール

 

この6つの成分について各食品にどのくらい含まれているかが示されています。

良く見てみると、大きく分けると、

  1. 脂肪酸
  2. コレステロール

 

この2つしか記載されていません。

ということは、その他の成分の含有量はほんの少しだけしか含まれていないということです!

具体的にいくつかの食品について見ていきましょう!

食品(100g) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g) コレステロール(g)
クロマグロ 27.5 5.91 10.20 6.41 0.05
豚バラ肉 34.6 12.95 14.84 4.03 0.07
鶏卵(生) 10.3 2.84 3.69 166 0.42
オリーブ油 100 13.29 74.04 7.24 0.00

この表からも各食品中に含まれている脂質はその割合は違えど、ほとんど脂肪酸だということが分かります。

  • クロマグロ・・・脂質に対する脂肪酸の割合81.8%
  • 豚バラ肉・・・脂質に対する脂肪酸の割合91.9%
  • 鶏卵(生)・・・脂質に対する脂肪酸の割合79.5%
  • オリーブ油・・・脂質に対する脂肪酸の割合94.5%

 

この結果を見て、「食品中に含まれている脂質のほとんどがトリアシルグリセロール(中性脂肪)だと言ったのに、これを見る限りだと誘導脂質に分類されている脂肪酸が脂質の主成分じゃないの?」

と、思ったあなた・・・

鋭い!!!!!!!!( `ー´)ノ

ではその疑問を少しここで解説していきます。

誘導脂質とは、【単純脂質や複合脂質が分解されるなど少し形が変わった脂質である】ということは一番最初に説明しました。

この誘導脂質に分類されている脂肪酸も同じで、脂肪酸とは元は単純脂質のトリアシルグリセロール(中性脂肪)から分解されたものです。

脂肪酸単体で存在するのは化学的に非常に不安定なのでトリアシルグリセロール(中性脂肪)として安定した形を取っているのです。

もちろん脂肪酸単体で遊離脂肪酸として食品中に全く含まれていないということでもないとは思います。

しかしほとんどの脂肪酸はトリアシルグリセロール(中性脂肪)の構成成分として食品中に存在しているのです。

実際にトリアシルグリセロール(中性脂肪)どのように構成されているかというと、

こんな感じです!

単純脂質はグリセロール(グリセリン)というものに脂肪酸が、何個くっついているかでその種類が分けられるのです。

  1. グリセロールに1つの脂肪酸・・・モノアシルグリセロール
  2. 〃に2つの脂肪酸・・・アシルグリセロール
  3. 〃に3つの脂肪酸・・・トリアシルグリセロール(中性脂肪)

 

このモノ、ジ、トリとは何のことかと言うと、1、2、3を表しています。

これはギリシャ数字と言うものですから、そうなんだ!と流してくれて構いません!

なのでトリアシルグリセロール(中性脂肪)はグリセロール(グリセリン)に脂肪酸が3つくっついた形をしているのです。

食品に含まれる脂肪酸の割合が違うということは、このグリセロール(グリセリン)にくっついている脂肪酸の種類が食品によって違うということになります。

そしてそのくっついている脂肪酸の種類や割合によって、その食品の脂質の特徴を変えているのです!

多価不飽和脂肪酸が多いお魚の油はサラサラになりますし、飽和脂肪酸が多い肉類の脂はギトギトしている・・・というように!

そして上の図にあるモノアシルグリセロールとジアシルグリセロールは自然界にはほとんど存在しません。

よってこれまで長々と説明してきたように、

食品中に含まれる脂質のほとんどが中性脂肪!!!!

ということになるのです!

ここは非常に重要なことなので前置きが長くなりました!

脂質の胆汁酸での乳化と膵液酵素での分解

ここまでくればあとは楽勝です!!

そして大変お待たせしてしまいました・・・

ここからはお待ちかねの各脂質の消化と吸収です!

食品中に含まれる脂質はほとんどがトリアシルグリセロール(中性脂肪)であることは説明しましたが、わずかながらコレステロールや脂溶性ビタミン、リン脂質などがあるのも事実です。

トリアシルグリセロール(中性脂肪)を中心にそれら全ての消化と吸収過程を紹介していきます!

基本的に脂質は水に溶けないので消化もしにくいのです。

脂っこいものを食べるとお腹で残っているような感じがするのはそのためです。

なのでまず脂質は十二指腸で胆汁酸によって乳化という作業を受けて分解されやすい形になるのです。

胆のうから出た胆汁酸で脂質は乳化されます。

乳化とは、水に溶けやすくする作業です!

例えばマヨネーズを想像してください!

マヨネーズは油と酢が主原材料です。

しかしきれいに混ざり合っていますよね?

あれはレシチンという水にも油にも溶ける成分によって乳化しているためマヨネーズのように混ざり合っているのです。

そのレシチンはリン脂質の一種で卵の卵黄に多く含まれています。

卵が原料で入ることで水と油が仲良く乳化して混ざる!という仕組みなのです!

この卵の卵黄のような乳化剤としての役割を胆汁酸が担っています!

胆汁酸にはリン脂質が含まれており、その働きで食物中の脂質たちが乳化され分解、さらには吸収されやすい形になるのです。

そして分解されやすい形になった脂質たちは、膵液に含まれる様々な酵素によって分解されていきます!

  • トリアシルグリセロール・・・リパーゼ
  • コレステロールエステル・・・コレステロールエステラーゼ
  • リン脂質・・・ホスホリパーゼ

 

各脂質は上記の膵液に含まれる酵素によって以下のように分解されるのです!

  • トリアシルグリセロール・・・モノアシルグリセロール+2つの脂肪酸
  • コレステロールエステル・・・コレステロール+脂肪酸
  • リン脂質・・・リゾリン脂質+脂肪酸

 

このように脂質はそれぞれ分解されていきます。

トリアシルグリセロール(中性脂肪)がリパーゼによって分解されるとき、モノアシルグリセロール+2つの脂肪酸になるのですが、ちょっと難しくて分からない方のために簡単に図で示しときます!

実は口腔や胃にも若干ですがトリアシルグリセロール(中性脂肪)を分解する唾液リパーゼや胃リパーゼがあります。

そしてトリアシルグリセロール(中性脂肪)を口腔内や胃でも一部分解しているのです。

最終的に各種脂質は、小腸の吸収上皮細胞で吸収されるようになるために水に溶けやすい形を形成します。

それがミセルというものです。

このミセルを形成することで水に溶ける親和性が高まり、小腸の吸収上皮細胞から吸収が可能になるのです。

各種脂質の吸収されるまでの過程は、まとめるとこのような感じですね!

脂質の吸収とその後

膵液の様々な酵素によって分解された脂質はミセルを形成しそれぞれ吸収されます。

そして、なんとここでそれぞれの脂質の多くは吸収後すぐに再び元の形に合成されるのです!

これを再合成と専門的には呼びます。

  • モノアシルグリセロール+2つの脂肪酸→トリアシルグリセロール(中性脂肪)
  • コレステロール+脂肪酸→コレステロールエステル
  • リゾリン脂質+脂肪酸→リン脂質

 

なんともAmazing!!(*”▽”)

しかし、これらは脂質ですのでやはりそのまま全身に運ばれることはできません。

水に溶ける成分であれば、糖質のように血管→肝臓→全身と運ばれますが、水に溶けない脂質は血管に入ることはできません。

なので違うルートがあるのです!

糖質の消化と吸収について詳しく知りたい人はこちら

水に溶ける糖質は血管に入り門脈を経て肝臓そして全身という流れですが、脂質はリンパ管を経由して全身に運ばれていきます。

そのリンパ管に入る際に、カイロミクロン(キロミクロン)というたんぱく質の粒子を作ります。

中性脂肪、コレステロール、リン脂質、脂溶性ビタミンなどはこのカイロミクロンに取り込まれます。

そしてリンパ管を経由して血液に入り全身へ運ばれるのです。

このカイロミクロンは水に溶け、リンパ液・血液の両方となじむことが出来るのでこういったシステムが可能になります。

中鎖脂肪酸はリンパ管に入らず門脈経由で吸収される!?

これまでは全て最終的にはリンパ管に入りリンパ管を経由して血液に入る脂質の消化と吸収を説明していきました!

ここでは、一部例外である吸収過程を持つ脂質について説明したいと思います。

トリアシルグリセロール(中性脂肪)はグリセロール(グリセリン)に3つ脂肪酸がくっついたものだということはもうご存知だと思います。

このトリアシルグリセロール(中性脂肪)にくっついた脂肪酸が中鎖脂肪酸の場合、リンパ管には入らず糖質と同じように門脈経由で肝臓に運ばれるのです。

通常トリアシルグリセロール(中性脂肪)を構成する脂肪酸は長鎖脂肪酸といって脂肪酸を構成する炭素の鎖が長いものが主です。

しかし、その脂肪酸を構成する炭素の鎖の長さが少し短い中鎖脂肪酸というものがあるのですが、それはリンパ管を介さなくても済むのです。

  • 炭素の数が4個以下の場合・・・短鎖脂肪酸(自然界にはほとんどない)
  • 炭素の数が5~12個の場合・・・中鎖脂肪酸
  • 炭素の数が12個以上の場合・・・長鎖脂肪酸

 

こちらを見てください!

分類 脂肪酸名 炭素数 多く含む食品名
飽和脂肪酸 ラウリン酸 12 パーム油、ココナッツ油など
ミリスチン酸 14 パーム油、ココナッツ油など
パルミチン酸 16 動物・植物性食品一般
ステアリン酸 18 動物・植物性食品一般
アラキジン酸 20 落花生油
べヘン酸 22 種子
リグノセリン酸 24 落花生油
不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 n-9系 オレイン酸 18 オリーブ油、菜種油、調合サラダ油
多価不飽和脂肪酸 n-6系 リノール酸 18 紅花油、大豆油、コーン油、ごま油
γ-リノレン酸 18 月見草油、母乳など
アラキドン酸 20 レバー、卵黄など
n-3系 α-リノレン酸 18 しそ油、えごま油、亜麻仁油など
EPA 20 ぶり、さば、さんま、さわらなど
DHA 22 いわし、さば、ぶり、さんまなど

食品中に含まれる脂肪酸のほとんどが長鎖脂肪酸であることが分かります。

しかし、ココナッツ油やパーム油ように中鎖脂肪酸を多く含む場合は違った吸収過程があるということです!

ここでココナッツ油の脂肪酸組成を見てみましょう!

ココナッツ油の脂肪酸組成
項目 炭素数 質量(g)
脂肪 100
カプリル酸 8 7.5
カプリン酸 10 6
ラウリン酸 12 44.6
ミリスチン酸 14 16.8
パルミチン酸 16 8.2
ステアリン酸 18 2.8
オレイン酸 18 5.8
リノール酸 18 1.8

炭素数が12個以下の中鎖脂肪酸が結構多いですよね?

このような中鎖脂肪酸を多く含む油は、糖質と同じように吸収上皮細胞で吸収されたあとリンパ管は介さず直接門脈に入り肝臓へ運ばれます。

また、トリアシルグリセロール(中性脂肪)は3つの脂肪酸とグリセロール(グリセリン)がつながったものでした!

実はこのグリセロール(グリセリン)の部分も水に溶ける親和性が高いのでリンパ管を介さずに直接門脈を経て肝臓へ入ることができます。

長鎖脂肪酸で構成されたとトリアシルグリセロール(中性脂肪)の場合、分解のされ方が中鎖脂肪酸とは少し異なります。

このように長鎖脂肪酸が分解されるときはグリセロール(グリセリン)は脂肪酸がついたモノアシルグリセロールという形なので門脈へは入れず再合成されてリンパ管へ入っていくのです!

脂質の消化吸収ではだいたい同じ乳化と酵素による分解という過程を経ますが、中鎖脂肪酸を含む脂質のみ吸収過程が違ってくるのです。

それも踏まえてまとめた図がこちらです!

  • 中鎖脂肪酸やグリセロール(グリセリン)・・・血管→門脈→肝臓→全身
  • 中性脂肪・リン脂質・コレステロールエステルなど・・リンパ管→血液→全身

そして全身に運ばれた脂質たちはそれぞれの働きを各細胞で行っていくことになります。

また脂肪酸に関して言えば糖質と同様にエネルギーに変換されていくのです。

まとめ

  1. 食品中に含まれる脂質はそのほとんどがトリアシルグリセロール(中性脂肪)である
  2. 脂質は十二指腸で胆汁酸によって乳化され消化吸収されやすい形になる
  3. 膵液によってトリアシルグリセロール(中性脂肪)、リン脂質、コレステロールエステルはそれぞれ対応する酵素の作用で分解される
  4. 小腸の吸収上皮細胞で吸収された脂質はもとの形に再合成されてカイロミクロンに取り込まれる
  5. カイロミクロンに取り込まれた脂質はリンパ管介して血液に入り全身に運ばれる
  6. 中鎖脂肪酸で構成されたトリアシルグリセロール(中性脂肪)のみ別の吸収のされ方をする
  7. 中性脂肪酸とグリセロール(グリセリン)は糖質と同じように門脈を経て肝臓そして全身へ運ばれる

 

以上が脂質の消化と吸収の仕組みでした!

長々とここまで読んでくださりありがとうございました!

 

スポーツ栄養学の基礎がこの1冊に!

今まで私が培ってきた知識や経験を元に魂込めて作りました!

 

ページ数が25ページと大ボリューム!

是非あなたの目標実現のサポートにお役立てください!

 

【E-BOOKのダウンロード方法】

①下のボタンよりLINE@に登録

②送信されるURLよりダウンロード!

この記事を書いている人 - WRITER -
あじ
こんにちは!元高校球児の管理栄養士あじです。 スポーツ選手の食事や栄養学について『わかりやすく!』をモットーに情報発信しています!
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© スポーツ栄養士あじのブログ , 2017 All Rights Reserved.