【アミノ酸スコア】によって良質なたんぱく質かどうかがわかる!?
こんにちは!
平成生まれの管理栄養士です。
今回の記事はたんぱく質の『質』に関する記事です。
運動している人やスポーツ選手には欠かせないたんぱく質!
そんなたんぱく質ですが、食品に含まれているたんぱく質は全て同じというわけではありません。
食品それぞれに固有のたんぱく質が存在していて、たんぱく質には『質』が存在します。
そんなたんぱく質の『質』を示すアミノ酸スコアに関してできるだけ丁寧にわかりやすく解説していければと思います!
ということで早速みていきましょう!
もくじ
良質なたんぱく質とは?
よく『良質なたんぱく質を取りましょう!』なんて言葉を耳にすると思います。
しかし、良質なたんぱく質とは具体的にはどのようなたんぱく質のことを指すのでしょうか?
また、その定義とはどういったものなのでしょうか?
実は【良質なたんぱく質】には明確な定義があります。
それはアミノ酸スコアが高いたんぱく質のことを指します!
とても大事なのでもう一度大きく太く!
良質なたんぱく質とは、アミノ酸スコアが高いたんぱく質のことである!
アミノ酸スコア・・・?なんじゃそりゃって感じですよね!
後から詳しく解説しますので、ここではなんとなく言葉だけ覚えておいてください!
ただ覚えてほしいのは、『たんぱく質はとりあえずアミノ酸スコアが高けりゃ質がいいんだな!』ということです!
たんぱく質はアミノ酸からできているということはご存知でしょうか?
もちろん知っているという人の方が多いかもしれませんね!
たんぱく質についてその構造から詳しく知りたい!という方はこちらをご覧ください。
たんぱく質について簡単な復習!
さきほどのリンクから飛んでたんぱく質の構造について記事を読んでくれた方はもうお分かりだと思いますが、ここで簡単にたんぱく質について解説します。
たんぱく質の概要について把握することは、アミノ酸スコアを理解するのにとても重要なのです。
- たんぱく質には数多くの種類が存在し、その働きや大きさなどは全て異なる
- たんぱく質は多くのアミノ酸の連なりでできている
- アミノ酸には20種類あり、その組み合わせや量の違いがたんぱく質の違いとなる
- たんぱく質を構成するアミノ酸は必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)と非必須アミノ酸(可欠アミノ酸)に分類できる
- 必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)は体内で合成できないアミノ酸で9種類存在する
- 非必須アミノ酸(可欠アミノ酸)は体内で合成できるアミノ酸で11種類存在する
超簡単にたんぱく質について解説するとこのような感じです。
アミノ酸スコアに関して重要なのは必須アミノ酸についてです。
必須アミノ酸は体内で合成することができないので食品から摂取しないといけません。
外から摂ることが必須となるアミノ酸なので必須アミノ酸と呼ばれます。
逆に非必須アミノ酸は他の栄養素から作りだすことが可能なので特に食品から摂取する必要がないという意味で『非』必須アミノ酸なのです。
アミノ酸20種類のうち、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の分類は以下の画像の通りです!
上の画像のうち、アミノ酸スコアに関わるアミノ酸は主に必須アミノ酸9つです。
もともとアミノ酸スコアは必須アミノ酸について評価するものでしたが、近年はそこに非必須アミノ酸からシステインとチロシンが加わり、評価するアミノ酸は以下の9種類になります。
- ロイシン
- イソロイシン
- リジン
- メチオニン+システイン(含硫アミノ酸)
- フェニルアラニン+チロシン(芳香族アミノ酸)
- スレオニン
- トリプトファン
- バリン
- ヒスチジン
上記のアミノ酸の名前を特に覚える必要はありません!
それではアミノ酸スコアというのものは、上記のアミノ酸とどのような関係があるのか解説していきたいと思います!
アミノ酸スコアとは?
アミノ酸スコアとは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価した数値(点数)のことです。
つまりアミノ酸スコアとは、必須アミノ酸がその食品にどのくらい含まれていて、それがある一定の基準に対してどのくらいの割合なのか?それを点数化したものなのです。
アミノ酸スコアは特定の食品に対して、窒素1gあたり(たんぱく質約6.25g)に占める必須アミノ酸が、ある基準値と比較してその基準に対してどれだけ含まれているのか評価するものです。
アミノ酸はその構造上、分子内に一定の割合で窒素(N)が存在します。
アミノ酸の連なりでできたたんぱく質が約6.25gあると、そのうちの1gは窒素なのです。
アミノ酸スコアは、窒素1g(たんぱく質約6.25g)の中に必須アミノ酸がどのくらい含まれているのかある基準と比較するのです。
その基準は、国際食糧農業機関(FAO)や世界保健機関(WHO)、国連大学(UNU)によって定められています。
これらの機関によって定められた一定の基準値に対して特定の食品の窒素1g(たんぱく質約6.25g)中に含まれる必須アミノ酸量がどのくらいあるのかを数値化しているのです。
ちょっと言葉ではわかりにくいので実際にグラフで見ていきましょう!
代表的な食品とそれぞれの必須アミノ酸の基準アミノ酸パターン
ここでは、各食品の窒素1gに含まれる必須アミノ酸が基準値と比較してどのくらいの割合で含まれているのか見ていきたいと思います。
実際にグラフにすることで簡単にアミノ酸スコアがいくつなのか、また制限アミノ酸が何なのかが理解できると思います!
それでは以下の食品について示していきます。
- 豚肉(ロース・脂身なし)
- あじ
- 鶏卵
- 大豆
- 牛乳
- ほうれん草
- 精白米
- 小麦粉(薄力粉)
上の図の各記号は以下のアミノ酸を表しています。
記号 | アミノ酸 |
A | イソロイシン |
B | ロイシン |
C | リジン |
D | 含硫アミノ酸 |
E | 芳香族アミノ酸 |
F | スレオニン |
G | トリプトファン |
H | バリン |
I | ヒスチジン |
上の図を見てわかるように、全ての必須アミノ酸が基準に対して100%を超えている食品のアミノ酸スコアは100となります。
豚肉、あじ、鶏卵、大豆、牛乳は上の図を見ても全てのアミノ酸が基準の100%を超えていまね!
つまりこれらの食品のアミノ酸スコアは100となり、たんぱく質の『質』が高い食品となるのです!
一方で必須アミノ酸の中で一定の基準に満たしていないアミノ酸が一つでもあると、アミノ酸スコアは一番低い%で示される値になってしまいます。
また、その不足しているアミノ酸を制限アミノ酸と呼びます。
例えば上の図でみると、豚肉・あじ・鶏卵・大豆・牛乳は全9種類アミノ酸で基準値100%を超えているのでそれぞれの食品に含まれているたんぱく質のアミノ酸スコアはもちろん100となります。
しかし、ほうれん草はリジンが94%、精白米はリジンが64%、小麦粉はリジンが39%でバリンが96%となっています。
したがってそれぞれのアミノ酸スコアは、ほうれん草が94、精白米は64、小麦粉は39となります。
小麦のように制限アミノ酸(100%を満たしていないアミノ酸)が複数ある場合、その食品のアミノ酸スコアは最も少ないアミノ酸の割合を示す数値(%)になってしまうのです。
小麦はリジンが39%、バリンが96%と基準を満たしていないアミノ酸が2つあるのですが、バリンよりリジンの方がより低い割合なので小麦のアミノ酸スコアは39となってしまうのです!
このように制限アミノ酸のうち最も基準に対して不足しているアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます。
小麦の場合は第一制限アミノ酸はリジンですね!
それでは様々な食品のアミノ酸スコアを見ていきましょう!
代表的な食品のアミノ酸スコアと制限アミノ酸
ここでは代表的な食品についてアミノ酸スコアを表にまとめてみました!
また、基準に達していないアミノ酸がある場合には制限アミノ酸も紹介しています。
食品名 | アミノ酸スコア | 制限アミノ酸 |
鶏肉 | 100 | – |
豚肉 | 100 | – |
牛肉 | 100 | – |
あじ | 100 | – |
いわし | 100 | – |
まぐろ | 100 | – |
大豆 | 100 | – |
鶏卵 | 100 | – |
牛乳 | 100 | – |
精白米 | 64 | リジン |
小麦粉 | 39 | リジン |
じゃがいも | 68 | ロイシン |
このように見てみると、動物性のたんぱく質はアミノ酸スコアが高いということがわかりますね!
一番最初に説明しましたが、良質なたんぱく質とはアミノ酸スコアが高いたんぱく質のことでしたね!
つまり動物性のたんぱく質は全体的に良質なたんぱく質であるということです!
植物性たんぱく質は、そこまでアミノ酸スコアは高くありません。
しかし大豆だけは植物性たんぱく質の中でもアミノ酸スコアが100と高く、良質なたんぱく質であることがわかります。
このように肉や魚、卵、乳製品などの動物性のたんぱく質や大豆のことを一般的には良質なたんぱく質と言うことが多いのです!
アミノ酸スコアは『質』を表すだけで『量』との関係はない!
ここまであらゆる食品に含まれるたんぱく質のアミノ酸スコアについて見てきました。
しかし、アミノ酸スコアはあくまでたんぱく質の質を見るものであって量とは関係がありません。
食品名 | アミノ酸スコア | 100gあたりのたんぱく質量 |
鶏肉(むね肉・皮なし) | 100 | 23.3g |
豚肉(ロース・脂身つき) | 100 | 18.3g |
牛肉(もも肉・脂身つき) | 100 | 19.5g |
あじ | 100 | 19.7g |
いわし | 100 | 19.2g |
まぐろ(くろまぐろ・赤身) | 100 | 26.4g |
大豆(ゆで) | 100 | 14.8g |
鶏卵 | 100 | 12.3g |
牛乳 | 100 | 3.3g |
精白米(ごはん) | 64 | 2.5g |
小麦粉(食パン) | 39 | 9.3g |
じゃがいも(水煮) | 68 | 1.5g |
この表を見るとわかりますが、いくらアミノ酸スコアが高く良質なたんぱく質であっても、その食品に含まれているたんぱく質量がそもそもが少ない場合もあります。
例えば牛乳はアミノ酸スコア100で良質なたんぱく質と言えますが、実際に100g摂った(飲んだ)時にたったの3.3gしかたんぱく質を摂取することができません。
同じ100g摂取する場合、アミノ酸スコアが100で同じであれば、牛乳よりも肉類や魚類などを食べた方が良いということがわかりますね!
たんぱく質は『質』と『量』どちらも大事
先ほども解説しましたが、たんぱく質は『質』は大事ですが『量』も大事なのです。
質の良いたんぱく質が含まれている食品を食べても、その食品自体にたんぱく質は少ししか含まれていなかったら意味がありません。
逆にたくさんのたんぱく質を摂取しても、アミノ酸スコアが低くたんぱく質の質が良くなければこれもまた意味がありません。
つまり、アミノ酸スコアが高く質の良いたんぱく質を充分な量摂取することこそが最も重要なのです。
動物性のたんぱく質や大豆など、質の良いたんぱく質が含まれる食品をしっかり食べることが大切です。
しかし、動物性食品を食べ過ぎてしまうと脂質の摂り過ぎになる場合があります。
動物性食品はたんぱく質も多く含まれていますが、それと同時に脂質も多いのです。
特に肉類は脂質量が多いので減量している方は食べ過ぎに注意です。
ですので、減量している方でたんぱく質もしっかり摂りたい方は魚類や大豆製品がおすすめです。
とにかくエネルギーを摂取して、かつたんぱく質もしっかり摂って身体を大きくしたいという人は脂質が多い肉類なども上手に使うと良いでしょう!
このように目的に応じてたんぱく質の『質』を考えながら量を適正に摂り、脂質の量なども調節できるようになると素晴らしいですね!
まとめ
今回のアミノ酸スコアについてポイントをまとめていきたいと思います!
- ポイント1・・・良質なたんぱく質とはアミノ酸スコアが高いたんぱく質のこと
- ポイント2・・・アミノ酸スコアとは、ある特定の食品中の窒素1g(たんぱく質約6.25g)に含まれる必須アミノ酸が一定基準に対してどのくらいの割合なのかを評価し数値化したもの
- ポイント3・・・9種類の必須アミノ酸全てが基準の100%を超えている場合アミノ酸スコアは100となる
- ポイント4・・・9種類の必須アミノ酸のうち基準に満たないアミノ酸を制限アミノ酸と呼び、アミノ酸スコアもその%の値となる
- ポイント5・・・基準に満たない必須アミノ酸が複数ある場合、基準に対して最も不足しているものを第一制限アミノ酸とし、アミノ酸スコアもその%の値となる
- ポイント6・・・動物性食品のたんぱく質はアミノ酸スコアが高く良質なたんぱく質といえる
- ポイント7・・・植物性食品のたんぱく質はアミノ酸スコアは低いが大豆のアミノ酸スコアは100である
- ポイント8・・・たんぱく質はアミノ酸スコアを含めた『質』とその摂取する『量』の両方が大事である