【アスリート・スポーツ選手必見!】運動時の水分摂取量の目安とは?
こんにちは!
私は平成生まれの管理栄養士です!
夏場に入ると普通に生活しているだけで汗をかきますね!
屋内・屋外問わず暑い環境で運動している人は、さらに汗をかくことでしょう。
発汗量が多くなるということは、体内の水分量が減っていくということです。
アスリートやスポーツ選手にとって、体水分量の減少というのは競技やトレーニングのパフォーマンスにも影響します!
そこで今回の記事では、アスリートやスポーツ選手の水分摂取量について解説していこうと思います!
運動する人がどのくらいの水分摂取量が必要で、水分補給に関してどのような意識を持てばよいのでしょうか?
それでは早速みていきましょう!
もくじ
アスリートやスポーツ選手が意識的に水分補給をしなければならない理由
アスリート・スポーツ選手にとって水分補給が大事な理由の一つは、体温調節をすることです。
水分を十分に摂取することで運動中の熱中症を予防することができます。
発汗量が多くなると脱水状態になります。
脱水状態で運動やトレーニングを続けると熱中症になってしまいます。
脱水や熱中症に関して詳しく解説した記事がありますのでこちらをご覧ください!
- 【脱水症状を予防しよう!】運動時の体温上昇の仕組みと体温調節システムとは?
- 【水分補給の基礎知識!】脱水症と水分不足による影響について解説してみた!
- 【経口補水液の出番だ!】熱中症の分類・症状・対策について解説してみた!
また、日々の健康管理や競技力(パフォーマンス)の低下を抑えるためにも水分補給は重要な役割を果たします!
水分が体内から失われていくと、その割合によっては運動のパフォーマンスが落ちてしまうのです。
体水分の損失量と運動のパフォーマンスの関係性について詳しく解説した記事はこちらになります!
このように、熱中症を予防するだけでなく、競技や日々のトレーニングのパフォーマンスをしっかり維持するためにも水分補給はとても大切なのです。
水分補給の量や内容は、その競技や運動をしている人の体格などによっても変わってきます。
それでは、アスリートやスポーツ選手の適正な水分摂取量などについて解説していきます!
アスリートやスポーツ選手の日常生活での水分摂取目安量
まず、人間の水分出納について見ていきたいと思います。
水分出納とは、①摂取する水分、②排出される水分 これらのバランスのことです。
こちらをご覧ください!
体内に入る水分(ml) | 体外へ出る水分(ml) | ||
食べ物の水分 | 1000 | 尿・便 | 1600 |
飲料水 | 1200 | 汗 | 600 |
代謝水 | 300 | 不感蒸泄 | 300 |
合計 | 2500 | 合計 | 2500 |
このように成人の場合ですと、一日に2500mlの水分が身体を出入りしているのです。
上記の表を見てもわかるように、飲料水としての水分摂取量は約1200mlです。
つまり、意識して水分の摂取をしないと慢性的に1200mlくらいの水分量が不足してしまうということになります。
水分量が不足して脱水状態になると、血液の粘性が増してしまいます。
そうすると血流が悪くなり、疲労物質が運ばれにくくなってしまいます。
疲労物質が分解されずに残ってしまったり、筋の収縮がスムーズに行われにくくなったり、最悪の場合はケガのリスクも高まります。
水分摂取を怠ると、100%のパフォーマンスができなくなってしまうのです。
それでは、日常生活においてアスリートやスポーツ選手はどのくらい水分摂取をする必要があるのでしょうか?
こちらの表をご覧ください!
体重(㎏) | 体重×40ml |
40 | 1600 |
45 | 1800 |
50 | 2000 |
55 | 2200 |
60 | 2400 |
65 | 2600 |
70 | 2800 |
75 | 3000 |
80 | 3200 |
85 | 3400 |
90 | 3600 |
95 | 3800 |
100 | 4000 |
105 | 4200 |
110 | 4400 |
目安としては、体重1kgあたり約40mlの水分摂取が必要になります。
体重が60kgのアスリートやスポーツ選手の場合は、日常生活において約2400mlの水分摂取量が必要になるということですね!
その程度の水分摂取量を心がけると、1~2時間に1回トイレに行きたくなると思います。
アスリートやスポーツ選手にとって水分摂取は、不足し過ぎるより少し多いくらいの方が良いのです。
一度の水分摂取量は150~200ml(コップ1杯)程度が理想です。
たくさん飲んでも吸収が追いつかずに胃に滞留してしまいます。
また、摂取する水分の温度は約5~13℃が理想的な温度で、飲み物の温度が少し低い方が吸収されやすくなるのです。
キンキンに冷やしすぎると内臓を冷やす原因になってしまうので、この適温を覚えておくと良いでしょう!
水分を摂取する際は、アルコールやカフェインが入った飲み物(コーヒー、紅茶など)には利尿作用があるので大量に飲むと逆効果になってしまいます。
このような成分が入った飲み物には、尿を体外へ排泄する働きがあるのです。
ですので、アスリートやスポーツ選手が日常的に摂取すべき水分は、アルコールやカフェインを含まないものにすべきでしょう!
ここまで読み進めてみて、『こんなに細かく計算して水分摂取するのは面倒くさい!』という方もいると思います。
そんな方のために、簡単に目安の水分摂取量がわかる方法を次に紹介します。
尿(おしっこ)の色で水分摂取量を判断する
水分補給が十分にできているかを判断する一番簡単な方法は、尿の色と量を調べるということです。
尿の色が濃く尿量が少ない場合は、もっと水分を補給する必要があります。
尿の色が薄く尿量も普通であれば、水分の出納バランスは正常に保たれていると判断することができます。
色が濃いということは、それだけ尿が濃縮しているということになります。
体内の水分量が少ないと(水分が不足していると)、できるだけ水分(体液)を外に排出しないように働くので尿が濃縮されて尿量も少なくなるのです。
私の地元の運動公園には【尿のカラーチャート】というものがあります。
これは、自分の尿の色をカラーチャートで確認することで、体水分量がどのくらいあるのかを判断するものです。
カラーチャートは下にいけばいくほど尿の色が濃く、脱水しているということを表しています。
つまり、色が薄ければ薄いほど水分量は充足していて、濃ければ濃いほど脱水している状態となります。
このように尿の色が濃い状態で運動すると、熱中症のリスクも高くなりますし、運動や競技のパフォーマンスも下がりますのでしっかりと水分補給をしてから運動するようにしましょう!
では、このカラーチャートを使った基準を紹介していきます!
- カラー1~3・・・良好な水分摂取状態なのでそのまま運動してOK
- カラー4~5・・・10~15分間隔で150~250ml程度の水分を補給する
- カラー6~8・・・コーチやチームスタッフに申告し、体水分量が戻るまで運動はできるだけ避ける
このように、尿のカラーチャートを使うことで簡単に水分補給の目安がわかるようになります。
一番簡単な方法ですので、覚えておくと便利です!
また運動やスポーツの指導をしている方は、トイレにこの尿のカラーチャートを設置するなど選手の体調管理に努めてほしいと思います!
消費エネルギー(カロリー)量から計算できる水分摂取目安量
一般的には、アスリートやスポーツ選手が試合や練習・トレーニングなどで消費したエネルギー量に対しておおよその摂取水分補給量が決められています。
それは1000kcalに対して約1000mlということです。
つまり、1kcal消費したら1mlの水分補給が必要ということです。
これはとてもわかりやすいですね!
例を挙げると、フルマラソンの競技中に消費されるエネルギー(カロリー)量は約3000kcalと言われています。
消費エネルギー量1kcalあたり1mlの水分が必要なので、3000kcal消費するマラソンの場合は約3000ml(3L)の水分補給が必要ということになるのです。
もちろん競技中に3L飲むということではありません。
運動によって失った水分量を元に戻すために、競技中や競技後に分けて合計で必要な水分摂取を目指すということです。
このように水分補給は、運動前、運動中、運動後など、一日トータルで行う必要があるのです。
運動後に『喉の渇きがなくなる程度に水分を摂取したからいいや!』と、水分補給をそれ以上の行わないという人が結構います。
しかし、体内ではまだまだ水分が必要とされます。
ですので、トレーニングや試合などを行った日は一日かけて元の水分量を取り戻さなければいけないのです!
そこで、自分のしている競技の試合や日々のトレーニングで、どのくらいの消費エネルギー(カロリー)量があるのかを把握しておくと良いでしょう!
消費エネルギー量が把握できれば、簡単に自分に必要な水分補給量の目安がわかります!
次は、先ほど解説したトレーニングや試合など運動後の体水分量の回復についてみていきましょう!
運動やトレーニング、試合における脱水からの回復
昔は、運動中に水分補給をすることさえも禁止されていた時代がありました。
想像するだけでぞっとしますね・・・
いわゆる根性論で競技力の向上を目指していた時代です。
現代のスポーツの現場では、そのようなことはなくなり自由に水分補給ができるようになりました。
しかし、それなりに水分補給をしているのにも関わらず脱水状態になり、ひどい場合には熱中症になってしまう人がいるのも事実です。
これは、アスリートやスポーツ選手が自分自身の体水分量の減少をしっかりと把握していないことで起きてしまいます。
自分が脱水状態にあるのか正確に知るためには、まず練習やトレーニング、試合の前後で体重の変化を知ることが必要です。
練習やトレーニング、試合の前後の体重の変化のほとんどが、発汗などによる体水分量の減少です。
もちろんマラソン選手のように、30Kmも走る練習などをすれば脂肪の燃焼などによって体重が減ることもあります。
しかし、ほとんどの場合は水分による体重減少ですので、体重が減った分=失った水分量 と考えて良いと思います。
それでは練習やトレーニング、試合の前後での体重の減少分に対してどのくらいの水分摂取をすれば良いのでしょうか?
表にまとめてみましたのでご覧ください!
体重差(㎏) | 体重差×150%(ml) | 体重差×200%(ml) |
0.1 | 150 | 200 |
0.2 | 300 | 400 |
0.3 | 450 | 600 |
0.4 | 600 | 800 |
0.5 | 750 | 1000 |
0.6 | 900 | 1200 |
0.7 | 1050 | 1400 |
0.8 | 1200 | 1600 |
0.9 | 1350 | 1800 |
1.0 | 1500 | 2000 |
1.1 | 1650 | 2200 |
1.2 | 1800 | 2400 |
1.3 | 1950 | 2600 |
1.4 | 2100 | 2800 |
1.5 | 2250 | 3000 |
1.6 | 2400 | 3200 |
1.7 | 2550 | 3400 |
1.8 | 2700 | 3600 |
1.9 | 2850 | 3800 |
2.0 | 3000 | 4000 |
2.1 | 3150 | 4200 |
2.2 | 3300 | 4400 |
2.3 | 3450 | 4600 |
2.4 | 3600 | 4800 |
2.5 | 3750 | 5000 |
2.6 | 3900 | 5200 |
2.7 | 4050 | 5400 |
2.8 | 4200 | 5600 |
2.9 | 4350 | 5800 |
3.0 | 4500 | 6000 |
練習後や試合後に推奨される水分摂取量は、失った体重(発汗量)に対して1.5~2倍くらいの水分摂取量が目安になります。
例えば、1回の練習で失った体重が1kgとすると、その日のうちに1500~2000ml程度の水分補給が必要になります。
一度に1.5~2Lもの量を一気に摂取できませんので、小分けにして飲む必要があります。
練習後に500ml飲んで、その後間隔をあけて150~200ml(コップ一杯)ずつ飲むようにしましょう!
アスリートやスポーツ選手は常に水分補給ができるように、ペットボトルやタンブラーなどを持ち歩くなど、いつでも・どこでも水分補給ができる環境作りに努めてください!
その結果として、疲労回復のスピードも上がりますしケガの予防にもつながります。
特に夏場の練習やトレーニング、試合の場合には熱中症になるリスクが上がりますので体重・水分管理が必要です。
また、個人で管理を行うだけでなく、チーム全体としてコーチやスタッフも含めて情報の共有が必要となります。
まとめ
それでは、この記事の内容を簡単にまとめていきたいと思います。
- ポイント1 アスリートやスポーツ選手が水分補給を意識的に行わなければならない理由
- 健康面・・・脱水状態からの熱中症予防
- 競技面・・・パフォーマンス向上と疲労回復・怪我の予防
- ポイント2 人間の水分出納
体内に入る水分(ml) | 体外へ出る水分(ml) | ||
食べ物の水分 | 1000 | 尿・便 | 1600 |
飲料水 | 1200 | 汗 | 600 |
代謝水 | 300 | 不感蒸泄 | 300 |
合計 | 2500 | 合計 | 2500 |
- ポイント3 アスリートやスポーツ選手の日常生活における水分摂取目安量
体重(㎏) | 体重×40ml |
40 | 1600 |
45 | 1800 |
50 | 2000 |
55 | 2200 |
60 | 2400 |
65 | 2600 |
70 | 2800 |
75 | 3000 |
80 | 3200 |
85 | 3400 |
90 | 3600 |
95 | 3800 |
100 | 4000 |
105 | 4200 |
110 | 4400 |
- ポイント4 尿のカラーチャートでわかる水分摂取量
1~3・・・良好な水分摂取状態なのでそのまま運動してOK
4~5・・・10~15分間隔で150~250ml程度の水分を補給する
6~9・・・コーチやチームのスタッフに申告し、体水分量が戻るまで運動はできるだけ避ける
- ポイント5 消費エネルギー量1kcalに対して1mlの水分摂取量が目安となる
- ポイント6 運動やトレーニング、試合における脱水からの回復に必要な水分摂取量
体重差(㎏) | 体重差×150%(ml) | 体重差×200%(ml) |
0.1 | 150 | 200 |
0.2 | 300 | 400 |
0.3 | 450 | 600 |
0.4 | 600 | 800 |
0.5 | 750 | 1000 |
0.6 | 900 | 1200 |
0.7 | 1050 | 1400 |
0.8 | 1200 | 1600 |
0.9 | 1350 | 1800 |
1 | 1500 | 2000 |
1.1 | 1650 | 2200 |
1.2 | 1800 | 2400 |
1.3 | 1950 | 2600 |
1.4 | 2100 | 2800 |
1.5 | 2250 | 3000 |
1.6 | 2400 | 3200 |
1.7 | 2550 | 3400 |
1.8 | 2700 | 3600 |
1.9 | 2850 | 3800 |
2.0 | 3000 | 4000 |
2.1 | 3150 | 4200 |
2.2 | 3300 | 4400 |
2.3 | 3450 | 4600 |
2.4 | 3600 | 4800 |
2.5 | 3750 | 5000 |
2.6 | 3900 | 5200 |
2.7 | 4050 | 5400 |
2.8 | 4200 | 5600 |
2.9 | 4350 | 5800 |
3.0 | 4500 | 6000 |
- ポイント7 水分補給する際の注意点
- 水分は一度に150~200ml(コップ一杯)程度が適量となる
- 複数回に分けて水分摂取をする場合は間隔をしっかりあけて行う
- 水分補給する際の飲み物の温度は5~13℃が適温