【管理栄養士推奨】手作り経口補水液(ORS)の作り方と手順を紹介!
こんにちは!
平成生まれの管理栄養士です!
ついに夏も本番です!
暑い日々がこれから続きますね!
これまで私は経口補水液の基礎知識や、脱水、熱中症などに関する記事を色々と書いてきました。
- 【経口補水液(ORS)の基礎知識】成分組成や飲み方などを解説してみた!
- 【水分補給の基礎知識!】脱水症と水分不足による影響について解説してみた!
- 【優しい解説!】子供(小児)と高齢者が脱水症になりやすい理由とは?
- 【経口補水液の出番だ!】熱中症の分類・症状・対策について解説してみた!
そこで今回は、様々なシーンで活躍する経口補水液の作り方を紹介しようと思います。
実は経口補水液は、お家にあるものだけで簡単に手作りすることができます。
自分で経口補水液を作ることができれば、運動時などに自分オリジナルのドリンクを用意することができます。
味や風味など、あなたの好みに調整することができるのです!
この記事では、私が実際に作った様子などを交えながら自宅で作れる経口補水液の作成手順などを紹介していきます!
それでは早速みていきましょう!
もくじ
自分で経口補水液を作れるようになるメリットとは?
自分で経口補水液を手作りするメリットとはどのようなものがあるのでしょうか?
私は次のようなメリットがあると考えます!
- 価格を安く作ることができる
- 緊急時に役に立つ
- 自分オリジナルの経口補水液が作れる
まず、経口補水液の価格ですが、一番有名なOS-1の価格は1本500mlで約200円くらいです。
しかし、お家で経口補水液を作れば砂糖・食塩・水さえあれば作ることができるのでほとんどお金はかかりません。
また、家族が脱水になった時などに家にOS-1などの経口補水液がなくても自分で作ることができます!
市販の経口補水液を買ってくるまでの間に手作りの経口補水液でつなぐこともできます。
さらには、市販の経口補水液の味があまり好きではないという人でも、手作りすることで自分好みのオリジナル経口補水液を作ることができます。
そうすれば水分補給が楽しくなりますね!
手作り経口補水液の材料や分量の紹介
ここでは経口補水液のレシピを紹介していきます!
紹介するレシピは以下の2つです。
- 【基本レシピ】
- 【応用レシピ】
それでは基本的なレシピから見ていきましょう!
経口補水液のレシピ【基本編】
まずは、経口補水液の基本ベースを作る際の材料ですが以下の3つとなります。
- 水
- 食塩
- 砂糖(ブドウ糖でも可)
驚く方も多いと思いますが、基本的には手作り経口補水の材料はこの3つです。
次に分量の紹介です。
- 水・・・1L
- 食塩・・・3g
- 砂糖・・・20~40g(ブドウ糖の場合10~20g)
これらを混ぜればもう完成です!
この基本レシピの分量は非常に重要ですので、割合を覚えておいてほしいと思います。
経口補水液のレシピ【応用編】果汁入り経口補水液
基本レシピをベースとして、そこにレモンやグレープフルーツの果汁を添加します。
使用する原材料(果汁)は以下の通りです。
- 経口補水液の基本レシピ+レモン果汁
- 経口補水液の基本レシピ+グレープフルーツジュース
このように果汁を添加することで風味や味覚が改善されて飲みやすくなるのです。
さらに、果汁の割合を変えることで味はもちろん経口補水液の浸透圧なども調整することが可能になります。
手作り経口補水液の作成方法
作り方を紹介する前に、今回作る経口補水液の種類について説明します。
今回作る経口補水液の種類は以下の7種類です。
- 経口補水液基本レシピ
- 基本レシピ+グループフルーツジュース10%添加
- 基本レシピ+グレープフルーツジュース25%添加
- 基本レシピ+グレープフルーツジュース50%添加
- 基本レシピ+レモン果汁5%添加
- 基本レシピ+レモン果汁10%添加
- 基本レシピ+レモン果汁20%添加
順番に作り方をみていきましょう!
経口補水液【基本レシピ】の作り方
まずは、食塩、砂糖を計量します!
今回は基本レシピを1L作る場合の食塩・砂糖量です!
お皿やクッキングシートの重さはあらかじめ引いてあります!
このように食塩や砂糖の計量は出来上がった経口補水液の浸透圧に影響しますので正確に量ってくださいね!
基本レシピは先ほど紹介した材料をただ混ぜるだけです!
- 水・・・1L
- 食塩・・・3g
- 砂糖・・・20~40g(ブドウ糖であれば10~20g)
混ぜるとこのような感じになります!
私は上白糖ではなく三温糖を使っているので、少し色が茶色くなりました!
基本レシピ+グループフルーツジュース添加(10・25・50%)
先ほど紹介した基本レシピの経口補水液にそれぞれの割合でグレープフルーツジュースを添加します。
- 10%添加・・・経口補水液1L + グレープフルーツジュース100ml
- 25%添加・・・経口補水液1L + グレープフルーツジュース250ml
- 50%添加・・・経口補水液1L + グレープフルーツジュース500ml
出来上がりはこちらです!
グレープフルーツジュースを入れる割合によって多少変わりますが、見た目は完全にグレープフルーツジュースです!
基本レシピ+レモン果汁添加(5・10・20%)
こちらも先ほど紹介した基本レシピの経口補水液にそれぞれの割合でレモン果汁を添加します。
レモンは絞り器を使い、種は取り除き果肉をできるだけ入れました!
- 5%添加・・・経口補水液1L + レモン果汁50ml
- 10%添加・・・経口補水液1L + レモン果汁100ml
- 20%添加・・・経口補水液1L + レモン果汁200ml
出来上がりはこちらです!
レモン果汁を入れて混ぜると、泡が多く立ちました!
時間が経てば泡は消えますのでご安心ください!
手作り経口補水液の組成
それでは、今回作成した7種類の経口補水液についてその組成をみていきましょう!
スマホでこの記事をご覧になっている方は、スマホを横にすると表が見やすくなります!
基本ORSの組成↓ | 炭水化物 | Na⁺濃度 | K⁺濃度 | 浸透圧 |
砂糖40g、食塩3g、水1L | 含有ブドウ糖(mmol/L) | mEq/L | mEq/L | mOsm/L |
基本ORS | 111 | 50.2 | – | 226 |
基本ORS+グ10% | 111以上 | 50.3 | 4.1 | 278 |
基本ORS+グ25% | 111以上 | 50.3 | 10.3 | 358 |
基本ORS+グ50% | 111以上 | 50.4 | 20.5 | 497 |
基本ORS+レ5% | 111以上 | 50.3 | 1.3 | 263 |
基本ORS+レ10% | 111以上 | 50.3 | 2.6 | 296 |
基本ORS+レ20% | 111以上 | 50.4 | 5.1 | 366 |
※赤色がついている欄は、経口補水液(ORS)のガイドラインに合致する値です。
※ブドウ糖【80~120mmol/L程度】、ナトリウム【40~60mEq/L】、カリウム【20mEq/L】、浸透圧【280mOsm/L未満】が経口補水液のガイドラインです。
※10%添加とは、1Lの水であれば果汁を100ml添加したということです。
上の各種経口補水液の組成表の浸透圧について注目してみると、
- 基本ORS
- 基本ORS + グレープフルーツジュース10%添加
- 基本ORS + レモン果汁5%添加
以上の3つが経口補水液ガイドラインに沿った浸透圧の値を示しています!
つまり、これらの3種類は吸収されやすい組成になっているということです。
もちろん水分補給の目的は一人一人違っていて、吸収のされやすさだけではありません!
『できるだけ美味しく水分補給をしたい』という人もいると思います。
ですので、色々なパターンの経口補水液を作成してみて好みに合ったものを見つけるのも良いでしょう!
ちなみにですが、手作り経口補水液はどうしてもカリウムが摂りにくいという説明をしました。
実際に上の表をみてみると【基本ORS + グレープフルーツジュース50%添加】のみが、経口補水液ガイドラインのカリウムの値に近いということがわかります。
やはり下痢や嘔吐などカリウムがより損失しやすいタイプの脱水の場合には、手作り経口補水液よりもカリウムがしっかりと含まれている市販の経口補水液の方がおすすめです!
手作り経口補水液の味などの評価
今回作った経口補水液は、先ほど組成で紹介した7種類です。
それぞれ味や飲みやすさなど私が感じたことをまとめてみました!
経口補水液の種類 | 甘味 | 塩味 | 酸味 | 飲みやすさ |
基本ORS | × | △ | – | × |
基本ORS+グ10% | ○ | ○ | ○ | ○ |
基本ORS+グ25% | ○ | ○ | ○ | ◎ |
基本ORS+グ50% | △ | ○ | ○ | ○ |
基本ORS+レ5% | ○ | ○ | ○ | ◎ |
基本ORS+レ10% | ○ | ○ | ○ | ◎ |
基本ORS+レ20% | ○ | ○ | △ | ○ |
さらに詳しく味などの詳細を書いてみました!
①経口補水液基本レシピ
基本レシピは甘すぎて、これだけでは飲めないと感じました。
基本レシピは砂糖を40gで作成していますので、甘さを控えめにしたい方は20g~40gの間で調整してみてください!
私の個人的な感覚ですと、20gくらいでも十分かなと思います!
②基本レシピ+グループフルーツジュース10%添加
グレープフルーツジュースを10%しか添加していないのにも関わらず、飲みやすさはグンとUPしました!
グレープフルーツジュースの酸味が、基本レシピの甘味を抑えているので美味しく飲むことができます。
風味が変わるだけで、こんなに甘かった飲み物が飲めてしまうことにも驚きました。
③基本レシピ+グレープフルーツジュース25%添加
このレシピの経口補水液は個人的にとても美味しく感じました!
酸味と甘味と塩味のバランスが丁度良かったと思います。
商品として販売されていてもおかしくないくらいの美味しさです!
④基本レシピ+グレープフルーツジュース50%添加
基本レシピにグレープフルーツジュースを50%添加してしまうと、少しグレープフルーツジュースの感じが強くなってしまいます。
経口補水液を飲んでいるというよりは、濃いグレープフルーツジュースを飲んでいるような感覚です。
しかし、この配合だとカリウムはとても多く摂取できますので、カリウムをたくさん摂りたい方にはおすすめです!
⑤基本レシピ+レモン果汁5%添加
レモン果汁を5%だけでも添加すると、酸味が加わり美味しく飲むことができます。
人によってはもう少し風味が足りないという方もいるかもしれません。
たった5%のレモン果汁でこんなに全体的な味などの印象が変わるということが本当に不思議です!
⑥基本レシピ+レモン果汁10%添加
10%レモン果汁を添加すると酸味が強くなるのでさらに飲みやすさが増します!
市販のスポーツドリンクで飲んだことがあるような味になります。
さっぱりしていて疲れている時や食欲がないときなどにもおすすめです!
⑦基本レシピ+レモン果汁20%添加
レモン果汁を20%添加すると、私個人的には少し酸味が強く感じました。
人によっては美味しいと感じるかもしれません!
あとは飲んだ時の状況によって感じ方が大きく変わると思います!
ちょっとした工夫でオリジナル経口補水液を作ろう!
この手作り経口補水液は、ちょっとした工夫するだけ自分好みのものに作り変えることができます!
例えば、水を炭酸水にしてみるのも良いでしょう!
炭酸水で経口補水液を作ることで、よりさっぱりとした経口補水液を作ることもできます!
この時、炭酸水はもちろん砂糖が含まれていない無糖のものがおすすめです。
炭酸水で経口補水液を作るデメリットとしては、炭酸でお腹が膨れてしまうのでたくさん飲めないということです。
そこまでたくさん水分補給をする必要がなく、より美味しく作りたいという方は是非試してみてください!
また、今回は経口補水液の応用レシピとして①グレープフルーツジュース、②レモン果汁の2種類で作りましたが、他の果物の果汁で作ってみてもよいかもしれません。
糖分が多すぎると、経口補水液の浸透圧が高くなってしまい吸収されにくくなってしまいます。
ですので私個人的には柑橘系の果物などで作るのがベターだと思います!
手作り経口補水液の使用上の注意点
ここでは、家で手軽に作れる経口補水液の使用上の注意点を紹介していきます。
- 素材の計量を間違いない
- 無菌ではないため保存はせず、できるだけ早く使いきる
- 適切なカリウム濃度を再現することは難しい
- 発汗によるナトリウム損失タイプの脱水には対応できるが、カリウムの損失タイプの脱水には対応できない
- ブドウ糖ではなく砂糖で作るので吸収には消化(分解)が必要となる
それぞれ少し詳しく解説していきます。
注意点① 素材の計量を間違いない
まずは、材料の計量を間違えないことが重要です。
もし計量を間違ってしまうと、経口補水液の濃度や浸透圧が変わってしまいます。
数gの誤差なら大丈夫ですが、明らかな計量ミスの場合、その経口補水液を飲んだ時にかえって症状が悪化してしまう可能性があります。
ですので、手作りで経口補水液を作る場合は食塩や砂糖の量は間違えないように注意しましょう!
注意点② 無菌ではないため、できるだけ早く使いきる
家庭で作るので、既製品のように無菌状態で経口補水液を作成することはほぼ不可能です。
ですので、長時間保存したりすると菌が増殖してしまいます。
特に砂糖が入っているために長時間置いておくと菌が繁殖しやすくなりますので、作ったらできるだけ早く飲み切るように心がけましょう!
注意点③ 適切なカリウム濃度を再現することは難しい
基本的な材料は、水、食塩、砂糖の3つですので、ナトリウムの濃度を調整することはできても、カリウムの濃度を調整することはできません。
果物の果汁などを使えばカリウムを追加することはできますが、既製品のようにカリウム濃度の値を経口補水液のガイドラインに合致させるのは至難の業です。
注意点④ カリウムの損失タイプの脱水には対応できない
脱水には様々な種類がありますが、ナトリウムが多く失われる発汗のような脱水もあれば、下痢や嘔吐のようにカリウムをより多く失ってしまう脱水のタイプもあります。
ナトリウムを多く失う発汗のような脱水の場合は、この手作り経口補水液は非常に有効です。
しかし、先ほども説明したようにカリウムの濃度の調整が難しいので、カリウムを多く失う下痢や嘔吐に対しては不十分になってしまいます。
そのような場合は、やはり市販の経口補水液の方がおすすめです。
注意点⑤ 砂糖で作るので吸収には消化(分解)が必要となる
既製品の経口補水液は吸収されやすいように(糖質を分解しなくてもいいように)単糖であるブドウ糖を原材料として使用しています。
しかし、手作り経口補水液は砂糖を使っているので消化に少し時間と労力がかかってしまうのです。
もちろん経口補水液を家で作る際に、砂糖ではなくブドウ糖を使用するのもよいでしょう!
ブドウ糖を使用する際は、水1Lに対してブドウ糖が10~20gが基本のレシピとなります!
手作り経口補水液を作るのに使用した材料
それでは最後に手作り経口補水液に必要な材料などを紹介していきます!
①水
②炭酸水
③食塩
④砂糖
⑤ブドウ糖
⑥レモン
⑦グレープフルーツジュース
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